北の富士さん 大相撲中継では歯に衣着せぬ解説で人気 昨年3月から休場、復帰かなわず
元横綱で相撲解説者の北の富士勝昭さん(本名・竹沢勝昭=たけざわ・かつあき)が死去していたことが20日、分かった。82歳だった。 【写真】優勝額贈呈式で額を持つ横綱・玉の海(左)と横綱・北の富士(1971年9月撮影) 北の富士さんは1974年7月に引退した後、年寄「井筒」を襲名。井筒部屋を起こしたが、77年の九重親方(元横綱・千代の山)の死去に伴い九重部屋を合併。師匠として千代の富士、北勝海の2横綱を育てた。 98年初場所後には理事選挙に絡む騒動もあって相撲協会を退職。同年の春場所からNHKの大相撲中継の解説者を務め、的確な解説と歯に衣(きぬ)着せぬ発言は視聴者の支持を集めた。 2000年からNHK専属解説者になった元小結・舞の海秀平氏とのやり取りも度々話題に。舞の海氏は2022年7月のスポニチ本紙の連載「我が道」で北の富士さんとの関係について明かしている。 舞の海氏は、横綱として10回の優勝を経験し師匠として横綱も育てた北の富士さんに「(経験を)聞いてみようと話しかけるようにしました」という。「最初は嫌がられました。『話しかけてくるなよ』と言われても、めげずに。経験をぜひ聞きたい。そうしたら徐々に観念して話すようになったんです」と関係の変化を語り、「普段の北の富士さんはあのままですね。年に何回か飲みにも誘われますが明るいお酒ですね。人を楽しませるし、昔の話とかいろんなエピソードを持っています」と素顔を明かしていた。 放送席で着物を粋に着こなす姿も“カッコいい”と話題になった。病気療養のため23年春場所から解説出演を“休場”すると視聴者からは体調を心配する声や復帰を熱望する声が多く上がった。 今年7月の名古屋場所では初日の中継にVTR出演し、健在をアピール。「こんにちは、北の富士です。去年の3月から長い間休んでしまいましたが、皆様お久しぶりです」とあいさつし、横綱・照ノ富士へ「結果を残してもらいたいものです」と期待。当時関脇だった大の里に「特に期待している」とし、「今場所どんな相撲を見せるのか楽しみです」。最後は「それでは皆さん一緒に楽しみましょう」と視聴者へ呼び掛けていた。