生血輸血に備え訓練 供血要請から手術室まで 鹿児島県奄美市の県立大島病院
日赤の血液搬送が間に合わない場合に緊急的に行われる院内血(生血)輸血。鹿児島県奄美市名瀬の県立大島病院(石神純也院長、350床)ではいざという時に備え、安全に迅速に生血輸血が行えるよう、看護師らが生血輸血の訓練を行っている。21日に同病院で行われた訓練には24人の看護師や臨床検査技師、医師が参加し、手順を再確認した。 生血輸血は供血者から採血して輸血する輸血療法。日赤の血液製剤に比べて感染症のリスクが上がることから、厚労省が「特別な事情のない限り行うべきではない」としている。離島医療では避けられない現状を踏まえ、同病院では2018年から毎年生血輸血の訓練を行っている。21日の訓練では交通外傷の患者に生血輸血が必要になったという想定で行われた。 看護師らは▽供血者を集めるために消防署へ連絡▽問診準備▽安全な貯血と放射線部への運搬▽検査室からの連絡で貯血を中止する─という手順を確認。問診・採血の際に必要となる医療器具の置き場所や問診から貯血までの流れも確認した。 適合する血液かどうかを確認する臨床検査技師らも中央検査室で訓練に参加。急を要する場面に受け付ける血液を、間違うことなく確実に検査するための方法を点検しながら医師や看護師と進めた。 参加した看護師らは「最初の1本目をいかに速く準備できるかが重要」「記入する手間を見直せばもっと時間短縮できるのでは」などと意見を交わした。 院内の輸血業務を監督する輸血責任医師・大木浩麻酔科部長は「血液が必要になる時は今すぐ欲しい状況。1分でも速くするためにどこの時間を短縮したらよいか改善を重ねていきたい」と話した。 県立大島病院では、救命救急センターが開設された2014年から18年までの間、18人(年平均3・6回)に生血輸血が行われ、16人の命が救われている。
奄美の南海日日新聞