若手社員>会社...力関係が逆転?「ゆるい職場」に不安を感じる若者がすべきこととは?
若手社員>会社。力関係が逆転している
――企業側は特に、若者には辞めて欲しくないですもんね。 古屋:力関係が逆転しているんです。会社が若手の言うことを聞くようになっていますね。会社としては、何も言わず突然辞められたら打つ手もないけど、思っていることを言ってくれれば交渉材料が増えますし、「これならどう?」と提案することだってできる。 実例として、ある若手社員が会社に自分の意見を伝えたところ、人事から「今度新しくベンチャー企業に出向する制度を作るから、その一部を担ってみないか」と提案され、二つ返事で承諾。本人のスキルも上がり、人脈が広がった人もいます。出向から戻った後も同企業に留まり、新規事業プログラムに参加して、今ではマネージャーをやっているそうです。 他にも、ある若手は「異動ガチャ」(会社でどこに配属されるかわかないこと)を避けるために「自分の上司になってほしい人」を12~13人リストアップ。その上司たち全員と面談を行い、その内容を元に「私はこういうキャリア成長ができると考えます。だから、この部署に異動したいです」と人事に希望を送ったそうです。みんながここまでできるとは思いませんが、「アクションを起こすことで自分の望むキャリアを作る」若者が出てきているのは間違いないですよね。
Z世代一括りはナンセンス。劇的に変わったのは「若者」ではない
――今回の新著に「人材育成にZ世代は存在しない」という言葉があります。古屋さんの主張は一貫して、基本的に世代が違っても人間のマインドに大きな違いはない。「労働環境や法律が変わったんだ」ということですよね。 古屋:僕は「Z世代がこうだ」という意見に真っ向から反対しています。個人の感覚を平均値で捉えられないですし、一人ひとり全然違う。過去に若手だった30~40代と比べて、今の若者が何かすごくマインドセットで違いがあるかっていうとそうじゃない。マインドセットを変える、意識を変えるってみんなよく言いますけど、そんなの不可能というか、一番難しいところだと思うんです。じゃあ、何が人に影響を及ぼすかといったら、「環境」じゃないですか。 キャリアの話は、その多くが「環境」の話だと思っているんです。今と昔で唯一違うのは「労働環境」ですよね。長時間労働が取り締まられるようになり、労働法が劇的に変わった。「発言力の弱い若者を使い潰す会社は許さない」という法改正ですから、間違いなくいい変化です。その結果として、今までやってきた育て方が全く通用しなくなっています。