生誕150年 全国を巡り子どもたちに読み聞かせた児童文学者久留島武彦の「語りの足跡」
大分県玖珠町出身の児童文学者久留島武彦の生誕150年を祝う催しが19日、同町の久留島武彦記念館であり、人形劇や口演などが披露された。同館では記念企画展も開かれている。JR豊後森駅前では銅像の除幕式もあった。 【写真】JR豊後森駅前であった久留島武彦像の除幕式 催しには町内の年長児約90人が参加。玖珠町のゆるキャラ「くるりん」と「ハッピーバースデートゥーユー」を元気に歌った後、佐伯市の人形劇団「木馬の会」の人形劇「はやのみこみの子ねこ」を鑑賞。母親からネズミを取ってくるように言われた子ネコが、早とちりして椅子やトウモロコシを持ってくる様子に園児らは大笑い。団員の巧みな人形さばきと語りに最後まで歓声が絶えなかった。肥田凪咲(なぎさ)ちゃん(6)は「人形の面白い動きが楽しかった」と笑顔だった。 地元のコーラスグループ「森童謡を歌う会」は久留島作詞の童謡など3曲を披露。久留島がつくった「全国童話人協会」(東京)の橋爪邦子事務局長による読み聞かせもあった。 同館では企画展「久留島武彦の語りの世界」を30日まで開催中。「語りの足跡」をテーマに、久留島が全国を巡り、子どもたちに読み聞かせた歩みを紹介している。関西の児童ら175人を連れて、1910年、大阪-別府を往復し、瀬戸内海を一周した「お伽(とぎ)船」の様子は地図を使い、詳しく解説している。 作家松本清張らが久留島の印象を語った「記憶のかけら」コーナーを設置。15年に韓国・ソウルで約2千人の子どもに囲まれて開いた口演童話会の様子を写したパネルも展示している。 銅像除幕式には、町商工会などでつくる銅像制作委員会の日隈昇三委員長らが出席。久留島が3人の子どもたちに語りかける様子をかたどった高さ約2メートルの銅像が披露された。町商工会の原孝彰前会長(76)は「駅は町の表玄関。観光客に久留島先生を知っていただければ」と話した。 (渋田祐一)
西日本新聞