長野県松本市の出峯山之神社 車で行ける山頂に遷座で参拝しやすく
長野県松本市入山辺の原、奈良尾の両町会の住民の信仰を集めている出峯山之神社(いでみねやまのかみしゃ)が、車で行かれる山頂へ遷座した。出峯山(標高約1400メートル)の西側中腹の急傾斜地にあったが、高齢化が進む中で、けがなく安全にお参りできるようにした。10日、山頂へ石の祠(ほこら)が移り、住民約20人が遷宮祭を執り行った。 神社の起源・由来は定かではない。かつてこの辺りは山から木を切り出して運んだり、炭焼きをしたりするなど山仕事をなりわいとしていたため、安全に山に入ることができるよう信仰の対象となったと考えられている。両町会にとって「身近な神様」で、近くの大和合神社の御柱祭と同じ年に出峯山之神社でも御柱祭を営んできた。 遷宮祭を前に、山の中腹にあった石の祠を一度麓に下ろした後、軽トラックの荷台に安置して山頂へ運んだ。山頂の民有地にある松とナラの大木を御神木とし、奈良尾町会から奉納された台石を据えて祠を鎮座させた。出峯山で採取した木材を使った手作りの鳥居も奉納し、周囲にはサカキを植えた。 住民でつくる実行委員会が主催した。後日、石塔などが奉納される予定だ。市川正治実行委員長(73)=奈良尾=は「車椅子を使ってもお参りできる場所になったので、ご先祖様が守ってきたお社を、これから先200年、300年と守り継いでいきたい」と話していた。
市民タイムス