約10万円で手に入れたフィアット「128」が3倍近い値段に! 大学教授が私の色褪せた足車を欲しがった理由とは?【クルマ昔噺】
別れは突然やってきた
危ない目にもあった。そもそも買った時点でタイヤは5部山。それが走り込んで恐らくは精々3部山程度になっていたのだろうか、タイヤを変えるお金もなかったのでそのまま乗り続けていたある日、アウトバーンで豪雨に遭遇。まあ見事なほどハイドロプレーニングに見舞われ、ヒヤヒヤもんで帰ったこともあった。1年弱乗り続けたが故障は一度もなし。じつに快調であった。 手放すつもりは毛頭なかったのだが、同じ日本人コミュニティの大学教授から相談を受けた。 「どうしても譲ってほしい。代わりに君のクルマを買ってあげる」 それならご自身で別なクルマを買えばよいのでは? と聞くと 「君が乗っていたクルマだから信用できる……」 と言うのである。しかし700マルクでは次のクルマは手に入らいないから……とお断りすると 「君が次に買うクルマに僕が2000マルク払う」 前述したように2000マルクならそこそこのクルマが手に入るのでそれに乗ることにした。128との別れはそんな感じで突然やってきたのだが、まさか2年しか滞在しないドイツで2台目のマイカーが手に入るとは思いもしなかったので、残念であると同時にすごく嬉しかった記憶もある。
中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
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