浅井健一が求め続ける“化学反応”の正体 ソロ最新作に込めた今のモードを語る
加速度的に1年が早くなっていってる
──じゃあ今回の3人ならではの制作スタイルだったと。 今回ね、ブランキーのときの作り方に感じが似てる。あんま深く考えずにとにかく3人でっていうところが。ブランキーのときは照ちゃんと俺が反応しあってたんだよね。照ちゃんすげえメロディの才能あるから。だからブランキーのときの作り方にちょっと似てるかな。 ──今作でまた初期衝動を感じられたのはそういう作り方だったからなんですね。レコーディングやミックスでは新しいチャレンジはありましたか。 ああ、ミックスはその「Fantasy」だけはAJICOのこの間の「ラブの元型」のエンジニアに頼んだ。奥田(泰次)君。 ──奥田さんは新鮮なサウンドを作る人ですよね。 なんか不思議な人だよね。ファッションもそうだし、小学校3年以来泣いたことがないんだって。 ──え?(笑) 涙が流れない。小3の時に腹を殴られて、その時以来泣いてないんだって(笑)。そういうエンジニアに頼んだんでそれが新しい。全然いつも不思議なキャップかぶってるの。 ──(笑)奥田さんがやるとどういうところが好きなミックスになるっていうのはありますか? 「ラブの元型」がすごい良かったんで、絶対いいだろなと思って頼んだら「ええっ!?」ていう感じだったんだけど(笑)、いろいろ言ったらよくなってった。 ──あれ、AJICOのインタビューでは「ラブの元型」はもともと浅井さんが思い描いてたサウンドからまるっきり変わったと言ってましたよね。何ヵ月か経って印象が変わったんですか? あれはあれですごいよかったなと思う。やっぱあれはプロデューサーの荒木(正比呂)君のやり方が良かったんだなっていう。で、そのまさにその元になったやつを今度のツアーのSEで流すわ。自分が作ったやつ。 ──今回のソロに第二期AJICOの活動って影響してたりしますか? 自分に影響してるかってこと? そうだね、奥田君にまた頼んだとか、だからスタッフサイドではあったよね。AJICOはあれはあれで楽しかったね。24年前にやったじゃん、第一期の。あの時の百倍楽しいかな。 ──それはもうみんなから出てくるものが? アルバムも楽しかったけど、ライブが面白かったかな。キーボードも入ったし、だからギターに専念する部分とかもあって。で、自分もたまに歌えるじゃん?お客さんも喜んでたし、笑えたな。 ──それは笑える感じになったっていうのもあるんでしょうね。 そうだね。昔は笑えなかったんで。まだ自分がしゃべらなかったし今の方がみんなも楽しいと思うな。いつまでやるんだろうね。また今度やるってなったらまたみんな一段と歳取っとるで(笑)。 ──そしてもう一つの話題としては、BLANKEY JET CITYのサブスク解禁があります。昔から聴いてる人も20代の人も湧き立ってるなっていう。 湧き立っとるのかな? 俺全然調べてないからわからないんだけど。それはそれで嬉しいし、ただもう俺はまあ関与しなくて、その時のマネージャーを信頼して任せてるって感じかな。それはいろんなインタビューではもう答えてるけどね。だから再結成するつもりもないし。あの時の自分の歌い方は今となっては自分はあんまり好きじゃないんだけど、でもその時の自分の本当だからそれはそれでいいと思うし、前を向いて日々を楽しく過ごしていくかな。 ──ソロのライブでもブランキーのレパートリーを取り上げてますもんね。 うん、全然やるよ。俺は自分も嬉しいし、みんなも喜んでるから。起爆剤みたいになってるよ。 ──アルバムをリリースして、全国12ヵ所を回るツアーは11月22日でファイナルを迎えます。 ほんとだね。そうこうしてるうちに今年も終わっちゃうよ。早すぎるわ。 ──昔より早いですか? 一年って。 加速度的に速くなっていっとるでしょ。100歳の人なんかめちゃめちゃ早いだろ(笑)。 ──(笑)。では年末までブッ飛ばして行くということで。ありがとうございました。 アイスクリーム、ごちそうさま。 ◎取材・文/石角友香 編集/小島靖彦(Bezzy)