大物アーティストの「名古屋飛ばし」や市民の「名古屋離れ」が加速? ホール不足が問題に
名古屋市内で、コンサートやイベントに使うホールの不足が深刻化しています。ここ10年ほどで大小のホールや劇場が経営難などで相次いで閉館。最近は老朽施設の改修工事が重なり、今月に入って収容人数1万人の日本ガイシホール(名古屋市総合体育館)も改修のため休館しました。 東京や大阪に公共交通機関で簡単にいくことができるという理由で、以前から大物アーティストが「名古屋飛ばし」をするケースがありましたが、ホール不足がこの傾向をさらに加速させるのではないかと危惧する声が出ています。またホール不足の影響は、このような大規模興行だけにとどまらず、学校の行事をはじめとする市民活動の「名古屋離れ」という形で表れつつあるようです。
「ガイシホール」もひっそり
名古屋市南区にある日本ガイシホールは今月21日から大規模修繕工事に入り、来年7月20日まで休館となりました(レセプションホールや研修室のある日本ガイシフォーラムは来年2月7日まで)。 ガイシホールはバレーやバスケなどのスポーツ競技開催はもちろん、最大1万席を確保できるアリーナ形式の多目的ホールで、AKBグループをはじめ日本を代表する大物アーティストなどが全国ツアー時に利用する定番会場のひとつでした。 休館に入った翌日のホールは、人の出入りも少なくひっそり。入り口には「本日は全館休館日です」という看板が立てられていましたが、1年半にわたる工事が始まるという雰囲気はまだ感じられませんでした。 名古屋で1万人規模の施設は、ガイシホールの他には中日ドラゴンズの本拠地で3万人以上を収容できるナゴヤドーム、約7000人収容で大相撲の名古屋場所でもおなじみのドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)程度です。イベント内容に合わせて規模を選ぼうとすると、選択肢に残る会場は限られ、特定のホールに人気が集中してしまいます。 公立ホールなどの文化施設を管理する名古屋市観光文化交流局文化振興室の担当者は「通常、ライブや企業イベントを開催するには企画を立ててから会場を確保しますが、名古屋の場合は逆になることも。最優先は会場の確保。そのあとで企画を立てることも少なくありません」と明かします。