動物病院に5時間立てこもり 強盗、建造物侵入疑いで24歳男逮捕 福島・須賀川
22日午後1時50分ごろ、福島県須賀川市西山寺町のやまもと動物クリニックに男1人が刃物を持って立てこもった。約5時間後の同6時50分、男が隙を見せた時に警察官が制圧し、須賀川署は強盗と建造物侵入の疑いで住所不詳、職業不詳の男(24)を現行犯逮捕した。けが人はいなかった。 逮捕容疑は、刃物を所持して院内に侵入し、院長の50代女性に刃物を示して脅迫、手足をロープのようなもので縛った上、女性のスマートフォン1台を奪った疑い。同署によると、男は「脅したことは間違いない」という旨の供述をしているという。同署は、男が立てこもった経緯や動機などを調べる。 同署や県警捜査1課によると、男は刃物を複数本所持。当時、病院は診療を終える間際で、院内には女性1人だった。男は、しばらく女性と会話した後に態度を豹変(ひょうへん)。「携帯を出せ」などと脅したという。刃物やロープは男が持ち込んだとみられる。 女性は午後2時40分ごろ「強盗に入られた」と110番通報。警察官が同2時50分ごろに駆け付けた際には、女性はすでに逃げ出しており、院内には男1人だったという。男との関係性や面識は不明。警察官が院内で交渉を始めたが、男は警察官に対して「弁護士に会わせろ」などと要求していた。交渉中には、自分のスマートフォンを操作し、警察官に取り押さえられた時も落ち着いた様子だったという。 男は灰色のパーカーのフードを目深にかぶり、マスクをしてパトカーで連行された。車内から報道陣の様子を気にするような姿も見られた。 現場はJR須賀川駅から北西に約1キロの住宅街。付近には西袋一小がある。
下校時間帯、学校に待機
現場は静かな住宅街。白昼の事件に周囲は異様な雰囲気に包まれた。小中学校は下校時間帯だったため、近隣の学校は児童、生徒を校内に待機させるなど、緊急の対応を余儀なくされた。現場近くの住民(72)は「午後3時ごろ家に帰ってきたら周りが騒然としていてびっくりした」と固唾(かたず)をのんで現場を見つめていた。 現場から約800メートルの西袋一小は原則、児童を保護者に直接引き渡す対応を取った。3~6年生約350人を学校で待機させた。近くの児童クラブに通う児童は職員の引率で施設へ向かわせた。1、2年生はすでに下校していた。 市教委によると、西袋中はすでに下校していた生徒を除いて校内にとどめた。午後6時半ごろに学校から完全下校したと連絡が入った。市教委は事件の発生と現場周辺に規制があることについて、市内の全小中学校に連絡した。 周辺住民によると、動物病院は被害に遭ったとみられる女性が診察を担当していた。近所の50代女性は「先生は優しい人でトラブルなどは聞いたことがない。こんなことが起きてびっくり、怖い」と不安を隠さなかった。
福島民友新聞