「阪神1位は“3年後の藤川球児”」「甲子園を沸かせた巨人3位は“順位縛り”がネック?」ドラフト全指名予想《阪神・ソフトバンク・巨人編》
巨人1位は「打のバリエーション」豊かな高校生ショート
繰り上げ1位・石塚裕惺(遊撃手・花咲徳栄高)は、もちろん「坂本勇人二世」のイメージで指名したが、ポジションは「遊撃手」にこだわらない。あくまでも、将来のクリーンアップの一角が最優先で、守りは現場が適性を判断して三塁手なのか、牧秀悟(DeNA)のような強打の二塁手を目指すのか。 右打ちの高校生では、やはり随一の打者だろう。左翼方向にホームランも打てれば、相手投手や場面によっては、センターから右中間への長打やタイムリーを狙える。打のバリエーションの多彩さが、強力な実戦力だ。 「第2回選択希望選手、読売、廣池……」とアナウンスが流れた時、DeNAのテーブルから、はっきり「あっ!」と小さく叫ぶ声が聞こえた。 この6月、全日本大学選手権のマウンドで、いきなり150キロ前後の快速球を連発してネット裏を驚かせた本格派右腕。廣池康志郎(投手・東海大九州)は、酪農を学ぶ大学生。理系で実験・実習に忙しく、十分な練習がなされていない中での快投だった。 その後、プロ志望を決意して練習に励み、秋の公式戦で5イニング15アウトで13奪三振の「現場」を巨人スカウト陣が複数の目でしっかり確認していた。わかっていても空振りのホップ成分抜群の速球に鋭いタテの変化。それでもまだ、開発率50 %程度だろう。
甲子園常連・広陵のエースは“順位縛り”のウワサも…?
問題は3位指名・高尾響(投手・広陵高)だ。 もちろん名門・広陵高で1年生からエースナンバーを全うし続けた実戦力の高さには、なんら問題はない。心配なのは、某強豪社会人チームの「2位縛り」という情報。つまり、2位までの指名なら私たちは諦めましょう……という社会人側の条件だ。 今回、折り返しで3位の先頭。2位と同じと解釈するのか、それとも3位は3位と突っぱねるのか。あくまでも最優先は、高尾投手本人の意志だ。球威、制球力、フィールディング、勝負根性、心身のスタミナ。プロでも1年目から働けそうな、極めてしたたかな投手だ。 まさか、高尾投手が万が一の時の保険ではないだろうが、4位指名の林翔大(投手・大阪経済大)がとてもよく似たタイプの右腕なので、ちょっと驚いた。 今春のリーグ戦は防御率0.94、この秋は1.17で7勝1敗。程よく力感を抜いた投球で145キロ前後の速球に、かなり手ごわいチェンジアップを駆使して、「失点しない投球」でリーグ戦20勝。制球力とタイミングを外す技術は一級品だ。 二十歳前後の将来のジャイアンツ投手陣を担える若手がやや心細い。 激戦・神奈川でもまれたイキの良い本格派右腕を続けて指名だ。 豪快に投げ下ろす速球と、落差の大きなフォークで勝負の沼井伶穏(投手・横浜隼人)は、マウンドで投げる表情もよく、嬉々として野球に取り組める内面が、指導者たちに見込まれるはず。 逆に、手を入れる必要がないほどの合理的なフォームから速球とスプリット勝負の鈴木圭晋(投手・横浜創学館高)は、プロの食事とトレーニングで鍛えたら、練習量と成長カーブが正比例するタイプだろう。 そして、7位・岸本佑也(遊撃手・奈良大付高)は強肩・強打の遊撃手として注目を浴びてきたが、巨人は遠投115mの地肩の強さと、しなやかで強靭な腕の振りに注目。「投手」として育成を進めるべく、指名に至った。 <西武・中日・オリ編/ヤクルト・楽天・広島編/ロッテ・DeNA・日ハム編から続く>
(「マスクの窓から野球を見れば」安倍昌彦 = 文)
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