「社員よりもタミヤに詳しい」元テレ朝アナが語る「プラモデルのイメージを“子どものおもちゃ”から変えたい」
オールタミヤで
田宮会長は、自著でこんなエピソードを明かしている。 《じつはタミヤには常設の歴史館がある。(略)タミヤが世に出したキットが全て揃っているわけではなかったが、私は(よくこれほど残っていたものだ)と満足していた。だが、松井さんはことあるごとに、 「社長、このキット、歴史館にないでしょう」 と珍しい旧ロゴのキットを寄贈してくれた》(田宮俊作『伝説のプラモ屋 田宮模型を作った人々』文春文庫) 同書でも紹介されているが、松井さんのコレクションで、田宮会長が「もうこの世には残っていないだろうと思っていた」キットにも対面することができたという。 「例えば飛行機のプラモデルで、同一モデルをシリーズでいくつか出しているのに、そのすべてが揃っていないというケースがある。私は、シリーズの初版から持っていますから(笑)。歴史館にないものはどんどん私のコレクションから寄贈します。あと、展示している製品を説明するキャプションもついてないので、それも改善したい。こうした細かい所にも目を配り、より多くのファンに来館してもらえるようにしたいと思っています」 昨年4月からタミヤで仕事をすることは決まっていたが、「肩書きをどうしましょうか」「そんなの必要ないですよ」などというやり取りをしているうちにあっという間に時間が経過し、今年3月、正式に「模型史研究顧問」として活動していくことになった。 「歴史館には、とんでもなく貴重な展示品があるんですよ。1/50の超巨大な戦艦三笠の模型です。木製でところどころに金属を用い、実に精巧に作られた模型です。でも、タミヤの歴史を紐解くと、三笠のプラモデルは出していない。実はこれ、田宮会長が知り合いから譲り受け、せっかくだからと歴史館で展示しているものです。実によくできていますが、タミヤ製品に三笠はない……(笑)。こうした展示品が他にもいくつかあり、タミヤの製品ではないものはとりあえずここから出して新しい展示先を探し、空いたスペースに、より歴史的なタミヤのキットを展示したいのです」 タミヤの歴史館である以上、「オールタミヤ」で臨みたいのだという。