<挑戦の春・’21センバツ専大松戸>第3部 監督とコーチ/下 「やさしさ」と「厳しさ」 ワンチームで熱心に指導 /千葉
持丸修一監督(72)と森岡健太郎部長(47)が率いる専大松戸野球部。部員の技術面の指導は、2人のコーチが支えている。小林一也コーチ(37)と清原博城コーチ(33)。持丸監督は「身内のようなもの。ワンチームで指導している」と話す。 2人のコーチは、いずれも茨城県の強豪・常総学院の出身だ。 小林コーチは昨年11月に亡くなった木内幸男元監督のもと、2001年のセンバツで全国優勝したチームのメンバー。大学卒業後の05年から常総学院でコーチを務め、08年に専大松戸に移った。 「(常総学院とは)目標が違って、はじめはどんな指導をするのがいいのか迷った」。専大松戸に移ったばかりの頃をそう振り返る。そのころ、専大松戸は県大会で一勝することに苦戦していた。 野球の技術を基本から教えたが、「勝てるチーム」に育てるのは簡単ではない。しかし部員たちは楽しそうに練習に励み、技術を身に付けようとする姿はひたむきだった。そこから感じたことがあったという。「強いチームでなくても、目標に向かう姿勢こそが大切だと教えられた。ここで指導ができてよかった」 現在は自身の経験から内野手を中心に指導している。持丸監督は「部員にやさしく、兄貴みたいな存在」という。 清原コーチは、持丸監督が常総学院の監督を務めていた05年、センバツに出場した。大学を卒業後、10年に専大松戸の野球部コーチになった。現在は主に外野手を指導している。 厳しい指導が清原コーチの持ち味だ。「しっかりしろ。今のプレーはアウトにできたぞ」。ノックを打つ時、部員に向けて大きな声で指導する。「自分の能力不足に言い訳をしないで、力を伸ばすことに本気で取り組んでほしい」。そんな思いが部員への叱咤(しった)激励へと駆り立てる。 清原コーチは保健体育の教諭で、担任をする1年生のクラスには野球部員も多い。教室とグラウンドの両方で、熱心な指導を続けている。持丸監督は「勝負に厳しいコーチ」と語る。 今のチームへの思いは――。小林コーチは「部員と信頼関係を築き、社会に出た時に大切なコミュニケーションの仕方なども伝えたい」。清原コーチは「結果に関係なく、悔いが残らないような野球部時代を過ごしてほしい」。甲子園を熟知する監督・コーチ陣がセンバツ出場を控えた野球部を鍛える。【長沼辰哉】