「ようやくこの日が来た」 市川の遺伝性ALS患者・青木渉さん、治療薬承認に喜びと期待
厚労省が27日、遺伝性ALSの治療薬「トフェルセン」の国内での製造販売を承認したのを受け、患者の1人、市川市の青木渉さん(36)は、千葉日報の取材に「ようやくこの日を迎えられた。待ち望んでいた。うれしい」とコメントした。 青木さんは、東京都内の飲食店店長だった2021年10月ごろ、足に違和感を覚え、やがて力が入らなくなった。22年春、SOD1という遺伝子の変異により筋肉を動かす神経が損傷する遺伝性ALSと診断された。 体調が悪化するなか、「希望の光」はSOD1型のALS患者の症状の進行を抑える薬として米国で新薬「トフェルセン」が開発され、国際的な治験後の23年4月に米国で迅速承認されたことだった。知人と家族らでつくる「サポーターの会」の支援を受けながら、厚労省で会見を開くなど国内での早期承認を訴えてきた。 国内の承認が進まないなか、青木さんが治療を受けている東京都内の病院が未承認薬を使う治療を可能にする病院内の環境を整えた。自費で購入すれば投与が可能となり、同年9月から投与に踏み切った。同薬が国内承認される日を待ち続けた。 トフェルセンの効果は「(症状の)進行を感じないくらい。体調は安定している」と青木さん。「新薬が承認されるまでの道のりはこんなにも困難で時間のかかるものなのかと痛感した」とも。 トフェルセンの承認をきっかけに「全てのALS患者がアプローチできる革新的な治療法ができること、そしてALSが治る未来を信じている」と期待した。