「生前贈与」で住宅を購入も…贈与税はどうなる?税負担を抑える〈4つの非課税制度〉
住宅購入資金を援助してもらった場合に活用できる「非課税制度」は?
子が親から住宅購入のための資金を援助してもらった際の贈与税の非課税制度に、冒頭にも触れた「住宅資金贈与の特例」があります。 住宅資金贈与の特例とは 令和6年1月1日から令和8年12月31日までの間に、親や祖父母などの直系尊属から住宅を購入するための資金の贈与を受けた場合には、一定の金額までであれば贈与税が非課税となる制度です。 住宅資金贈与の要件 この非課税制度の適用を受けるための要件として、人に関するものと住宅に関するものがあります。 人に関するものとしては、贈与者は直系尊属または贈与の年の1月1日の時点で60歳未満の者であり、受贈者は18歳以上の直系卑属であることが適用要件です。ただし、受贈者が贈与を受けた年の所得金額が2,000万円を超えている場合には、この非課税制度を適用することはできません。 住宅に関するものとしては、床面積が50m2以上(贈与を受けた年の所得金額が1,000万円以下の場合には40m2以上)240m2以下の住宅であることが適用要件です。なお、その住宅が新築でない場合には、その取得日以前20年以内(耐火建築物である場合には25年以内)に建築された住宅または、新耐震基準を満たす住宅に限定されています。 上記の要件のほか、贈与された年の翌年3月15日までに贈与によって取得した資金で住宅を新築し、かつ、居住するために利用する必要があります。 さらに、この非課税制度は、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、この規定の適用を受ける旨を贈与税の申告書に記載し、住宅取得等資金の非課税の計算明細書の書類等を添付する必要があります。
住宅取得資金贈与の特例の利用方法は?
住宅取得資金贈与の特例は、贈与税申告書にいくつか必要書類を添付しなければ、適用を受けることができません。 一般的に必要となる書類は下記の通りです。 資金援助を受ける側の書類 ・贈与者と受贈者の関係がわかる戸籍謄本など ・受贈者の合計所得金額がわかる源泉徴収票など ・令和6年3月15日までに、対象住宅に居住していない人は、直ちに居住のために利用することができない事情などが記載された書類 取得する住宅に関する書類 ・取得や増築した家屋、敷地の登記事項証明書 ・取得、新築した際の売買契約書や建築請負契約書の写し ・住宅性能証明書、増改築工事証明書など 手続きの際にかかる費用 ・登録免許 登録免許税の税率は、取得した不動産の固定資産税評価額の2%です。 ・不動産取得税 不動産取得税とは、不動産を取得した者に対して課される税金です。 贈与によって親から不動産を取得した受贈者は、不動産取得税を納める必要があります。なお、不動産取得税の税率は、固定資産税評価額の3%です。 ・税理士や司法書士などの専門家に対する報酬 住宅取得資金贈与の特例を受けるにあたり、不動産所有権の移転登記や、贈与税の申告書作成などの手続きが発生するため、司法書士や税理士へも報酬を支払う必要があります。 専門家に対する報酬は、専門家によって幅があるものの、それぞれ10万円程度になります。
【関連記事】
- 愛する孫へ「はい。お年玉」→税務調査官「追徴課税です 」…70代・居酒屋経営の夫婦がやらかした、お正月の“致命的なミス”【税理士が解説】
- 東京都港区の5坪の地面に、相続人が36名…40代専業主婦、地獄の相続手続きから〈イチ抜け〉する方法は?
- 50代長男夫婦、年金月18万円の74歳昭和気質の父を疎み“サ高住”へ押し込めるも…3ヵ月後「貯金2,400万円」を失い帰ってきちゃったワケ【CFPが解説】
- 年金月25万円、退職金2,000万円で静かな老後を送るはずが、夜逃げの大惨事に…原因は、2階の部屋でチラつく「無職ででっかい双子の影」【FPの助言】
- 家族葬なんてしなければ…年金月6万円だった享年85歳父の「葬儀」を、世帯年収500万円の50歳娘が後悔しているワケ【FPが解説】