日産のCDSが急上昇、1年8カ月ぶりの高水準-厳しい業況反映
(ブルームバーグ): 日産自動車の信用リスクを示すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)が急上昇した。今期(2025年3月期)の利益計画を下方修正し、世界で9000人の人員削減を7日に発表しており、足元の厳しい業況を反映したものだ。
CMAのデータによると、日産のCDSは7日に約13ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、2023年3月以来の高水準となる178bpとなった。CDSトレーダーによると、8日は180bpの気配となっている。同社CDSは10月、シャープを抜き日本で4番目の高水準に達していた。
日産の経営環境は厳しさが増している。主力市場の米国で販売奨励金(インセンティブ)が増加し、現地企業との競争が激化する中国でも苦戦しており、今期の世界の販売見通しは340万台と従来から25万台下方修正。同時に営業利益見通しの減額や人員削減策も示したことで、日産株は8日の取引で一時10%安と急落。20年10月以来、約4年ぶりの安値を付けた。
みずほ証券は日産の信用力見通しを「安定」から「やや下向き」に引き下げた。聲高健吾クレジットアナリストは、米国での事業環境悪化や再建に伴う一過性の費用計上により、今期(25年3月期)から来期にかけて自動車事業の収益性が低下するとの見通しに基づくとリポートで指摘した。
日産はムーディーズとフィッチから投資適格で最低の格付け、S&Pグローバル・レーティング(S&P)からはBBプラスとジャンク級を付与されている。一方、日本の格付け会社である格付投資情報センター(R&I)は、投資適格の中で6番目に高水準のシングルAを与えている。
R&Iと同じくシングルAを付与している日本格付研究所(JCR)は8日、日産の格付け見通しをポジティブからクレジット・モニター(ネガティブ)対象とすると発表した。業績悪化や大規模リストラの発表を踏まえ、海外事業の立て直しを含む中期的な収益力改善見通しなどを精査して格付けに反映させる方針だ。S&Pも同日のリポートで、業績を安定化できなければ信用力への下方圧力が高まると指摘した。
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Ayai Tomisawa, Takahiko Hyuga