円は160円の節目意識、月末要因で一段安も-一時急反発も上げ縮小
(ブルームバーグ): 円相場は1ドル=160円の心理的節目を意識した動きが続いている。神田真人財務官が24時間いつでも介入の準備があるとけん制したが、市場の反応は限定的だった。今週は月末および四半期末週で、需給要因により円安が一段と進むリスクを警戒する声が出ている。
円相場は対ドルで一時159円92銭と4月29日以来の安値を付けたが、ロンドン時間午前11時過ぎに急反発し、0.6%高の158円82銭まで戻す局面があった。その後は上げを縮小し、159円50銭付近で推移している。
MUFGの為替ストラテジスト、リー・ハードマン氏は「ここ数日に円売りペースが加速しているが、現時点で日本の介入を正当化するような『行き過ぎた』値動きと考えられるかどうかは分からない」とリポートで指摘。「神田財務官の発言は、ドル・円が年初来高値に迫る中で、せいぜい円売りの一時的な鈍化に役立つ程度だろう」と続けた。
今週は月末および四半期末を控えて、ポートフォリオのリバランスや実需の取引などが相場のかく乱要因になりやすい。三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは、160円を前に「値ごろ感による円買いの動きも出やすい」半面、25日が商業決済が集中する五・十日(ごとおび)で、26日はスポット取引の決済日が月末最終営業日(28日)に当たるため、需給主導で円が160円台に下落するリスクがあるとみる。
円安けん制
160円に迫る円安進行を受けて、通貨当局からけん制発言が相次いでいる。神田財務官は24日朝、為替介入は「24時間いつでも準備できるようにしている」と言明。鈴木俊一財務相は、為替の過度な変動は望ましくないとした上で「必要に応じて適切に対応する」と話した。
もっとも、口先介入の効果は限られ、円相場は安値圏での推移が続く。三井住友銀の鈴木氏は160円を意識したドル買い意欲が強いことや月末・四半期末を控えた需給が交錯する中で「発言内容自体はこれまでと変わらないため、反応は限定的になった面もあるだろう」と指摘した。