<The追跡>新規就航断念も 燃料不足で飛行機が飛べない!【WBS】
なぜ燃料不足は起きる?
では、燃料不足はなぜ起きているのでしょうか。 「海外から積んでくる燃油は一切問題ないと聞いている。広島で着陸をして給油する際、国内の元売りとの契約が担保されていない」(広島国際空港の坂本副社長) 18日、国は航空会社や石油の元売り大手などを交え、改善策について緊急のタスクフォースを開きました。この中で燃料不足の背景とされたのは、製油所から各地の空港に燃料を運ぶ物流の問題です。 50年ほど前には全国に49カ所あった製油所がおよそ20カ所に半減したことで、空港への輸送距離が延びたこと。さらに、燃料を運ぶ船やタンクローリーの従業員の人手不足が影響していると指摘されました。 羽田と並ぶ日本の玄関口、成田空港。4月以降、燃料不足で5社程度が就航できていません。 「JBS」は成田空港で飛行機の荷物の積み下ろしやけん引などグランドハンドリング業務を行う会社です。 「7月に(就航)予定の航空会社も延期となった。解決を願う」(JBSの中鉢真輔社長) 人手不足の中、スタッフをかき集め、7月から中国の航空会社3社、週13便を受け入れる予定でしたが「契約の締結まで来ているが、最終的にはジェット燃料が調達できない。(いつまでの延期か)正直分からない」(中鉢社長)といいます。 JBSでは石油元売りへ直接、契約する航空会社への燃料供給を掛け合ったといいますが、「現在生産が追いついてない」「対応できない」とはっきり断られたといいます。 そんな中、国内外の航空関係者を取材すると、ある証言が。 「ジェット燃料は原油の中でも生産できる量がわずか。石油元売りは、他の燃料を売れ残してまでジェット燃料を増産したくない事情がある」(航空関係者)
コロナ禍で大幅に需要が減ったジェット燃料。航空需要が回復してきた今も生産量は伸び悩んでいます。ジェット燃料は原油から精製して作りますが、その割合は7%。同時にガソリンや灯油なども生産されます。ジェット燃料以外の需要が伸びていない中、石油元売り企業が生成するのをためらっているのも原因の一つではないかというのです。 石油元売り3社に取材を申し込んだところ、出光とコスモエネルギーは「コメントは控える」と回答。一方、ENEOSは次のように答えました。 「ジェット燃料の増加する需要に対し供給体制が追いついておらず、エアライン向けの新規・追加供給をお断りしているのは事実です。羽田や成田でも新規や追加供給についてはお断りしているケースはあります。生産をオペレーション変更によるジェット燃料の増産を実施、検討しています」 今、考えられる対策としては何があるのでしょうか。 「外国航空会社からも増便や新規就航のリクエストが絶えない状況にある。石油元売り各社、航空会社の他、空港各地で運営する空港の運営会社など、今の状況もつまびらかに教えてもらいながら一緒に対策を検討することが大事」(「国交省」航空ネットワーク企画課の廣田健久課長) 斎藤経済産業大臣も「今後短期的に何ができるか、また中長期の視点に立ち、解決すべき課題の対応をスピード感をもって検討していきたい」と会見で話しました。 現在は海外の航空会社に影響が出ていますが、今後は国内の航空会社にもその影響が及ぶかも気になるところです。 日本航空は「現時点では今年度下期までの計画に影響はないとみている」と回答。全日空は「燃料調達先からは今年度下期の国際線への供給を増やすことは難しいといった話も受けているが、鋭意調整をしたい」とのことでした。 ※ワールドビジネスサテライト