衝撃デビューした打者大谷翔平が体験した51球を分析して見えてきたこと
“二刀流”大谷翔平は、投手、そして打者としても、2試合連続本塁打を打ち最高のスタートを切った。打者・大谷が、対峙した51球を見直してみた。4日(日本時間5日)のインディアンス戦、延長十回裏。マウンドのコディ・アレンは、徹底して大谷の内角を攻めた。しかし、最後に来た真ん中やや外寄りの4シームを捉え、大谷はゴロでセンターへ運んだ。
ここではヒットになったが、大谷に対するここまで3試合、14打席、計51球の相手の攻めを見る限り、内角が攻めの柱のよう。
これはおそらくキャンプでの攻めの延長だろう。 打者として出場したオープン戦の2戦目。大谷と対戦した過去2年連続で二桁勝利を挙げている速球派のジョン・グレイ(ロッキーズ)が、こんな話をしていた。 「今日は、左打者の外角にどう投げるかがテーマだったから投げなかったけど、本番なら内角を攻める」 その頃まだ、大谷は高く足を上げ、左肘も高く上げていた。内角はタイミングが遅れる、との見立てだった。やがて、オープン戦も中盤を過ぎると、相手も打者を抑えにかかり、実戦さながらの配球を始めると、大谷との対戦では内角を突いた。すると大谷も、その攻めに苦しんだ。 ただ、今、その内角攻めが効いているかどうか。実は、6安打のうち、3本が内角の球を捉えたもの。内角の球でアウトになったのは、見逃し三振一つと内野ゴロ3つ。 もちろんまだ、サンプルが少ないが、少なくともオープン戦のように内角を攻められて内野ゴロばかり、というわけではない。 内角対策の一つが、ノーステップ打法なのだろうが、内角の厳しい球はファールにもしている。そのあたりも、結果を象徴しているかもしれない。 なお、3日のインディアンス戦では、5回の第3打席に、右腕のダン・オテロの90マイル(145キロ)の内角ストレートを見逃して3球三振を喫しているが、あれは厳しい球だった。
おそらく、審判によって判定が割れる球。まさに、ボーダーライン。2ストライクと追い込まれていたことを考えれば振らなければならなかったのかもしれないが、ボールと見極めて見逃したことには、ある意味、驚きがあった。 もっとも、あの球だけではない。 5日、昨季のサイ・ヤング賞を獲ったコーリー・クルーバーとの最初の対戦でも、見逃し三振に倒れたが、あの最後の球、0ー2からの4球目はボールだろう。