「悪夢の再来」朝ドラ『おむすび』早くも懸念、局内は余裕姿勢でも隠せぬ“必死ぶり”
朝ドラの鍵を握る“子役”
NHKの関係者は、この状況をどう見ているのだろうか。 「それぞれの担当部署のことですから、局内でわざわざ朝ドラについて言及する人は意外といないんです。ネットで話題になっていることは知っていますが、ドラマ制作班がどうにかすることなので、多くの局員は特に心配などはしていませんよ。朝ドラは進行状況によって脚本が変わっていくので、まだまだこれからという部分もあります」 と、ネットでのネガティブな反応を深刻に受け止めている様子はない。しかし、民放でドラマ制作を担当する制作会社プロデューサーはこう語る。 「『おむすび』は番宣が目立ちますよね。ほぼ毎日、告知が流れています。もちろん、ドラマの番宣や告知はどこの放送局でも流しますし、それはNHKも同様。ただ、朝ドラに関していえば、過去の作品でここまでしつこくやっていた記憶はありません。先日は『朝ドラ名場面集』と銘打って、過去に放送された朝ドラの名場面を特集していましたが、そこに『おむすび』のメイキングやキャストのインタビュー映像も流れ、さすがに“このドラマを何とか盛り上げよう”としている意図を感じました」 中には例外もあるが、朝ドラはたいてい主人公の幼少期から始まる。そして、そこから多くの名子役が輩出されている。 「子役の名演技で視聴者を引き付けておいて次につなげたいところですが、過去には子役があまりにも芝居が上手すぎたために、本来の主演俳優に代わった途端、視聴率が低下した例もありました。“あの子を再登場させて”なんて声が出ることも多々あったので、“子役の出演は最初の第1週だけ”と決めた時期もあったんです」(前出・NHK関係者) 『舞い上がれ』や『ちむどんどん』も、子役時代は好評だった。だが、『おむすび』はいきなり成長した主人公から始まっている。“不評”を買ってしまった一因がそこにあるとは言えないが、ドラマはこの後、時代設定が『阪神淡路大震災』が起こった1995年前後に遡る。 高校生の主人公は小学生、伝説のギャルは高校生という時代だ。このトリッキーな演出と子役たちの活躍で盛り返す可能性は大いにある。“視聴リタイア”は、まだ時期尚早かもしれない――。
佐々木博之