アンジェリーナ1/3「新曲のMVで渋谷のスクランブル交差点に寝っ転がった」
◇学園祭がきっかけでGacharic Spinに加入 ――Gacharic Spinに加入するきっかけは、F チョッパー KOGAさんだったそうですね。改めて、バンドに加入した経緯を聞かせていただけますか? アンジェリーナ1/3:ガチャピンにはダンサーがいた時期もあったりとかして、エンターテイメント性のあるバンドだったんですけど、ダンサーが卒業するにあたって、新しく声を使える若い子を探すことになって、オーディションで発掘されたのが私だったみたいです。 KOGAさんが、文化祭とか弾き語りのイベントとか、いろんなところに足を運んでいて、私の学校の文化祭に来てくださっていて、“あの子なんか気になる”ということで声をかけていただきました。 ――KOGAさんの彗眼がすごいですね。 アンジェリーナ1/3:そうなんですよ。でも、私に声をかけてくれた理由について「歌がうまいとかですか?」みたいな話をしたら、そういうわけでは全然ないって(笑)。ただ本当に“気になる”っていうだけみたいです。 ――上手に説明はできないけど、華があったんでしょうね。 アンジェリーナ1/3:たぶん、そうです(笑)。でも、私は声がすごく特徴的だったので、バンドに入ったらどんな化学反応が起きるのか楽しみにしていたみたいです。 ――自分たちの音楽性について、どう捉えているのでしょうか。 アンジェリーナ1/3:私はいつも「ジャンルはなんですか?」と聞かれたら、Gacharic Spinと答えています(笑)。他のメンバーに聞いたら、また全然違う答えになるとは思うんですけど、ジャンルがないバンドだと思っています。1曲1曲を聞いていくと、各々のメンバーの好きな楽曲が違うんですよ。 メタルが好きなメンバーもいれば、ダンスミュージックが好きなメンバーもいるし、J-POPが好きなメンバーもいるし、ゴリゴリのオルタナティブが好きなメンバーがいたり、6人それぞれの好きな音楽の系統が違うので、それがギュッと合わさったのがガチャピンです。 ――ちなみに、KOGAさんに発掘されるまでも音楽活動はされていたんですか? アンジェリーナ1/3:してませんでした。少しだけ子役をやっていたことがあったんですけど、中学校1年生のときに父が病気で亡くなったんですね。それをきっかけに、お芝居は諦めてしまったんですけど、別の形で表現はしたいと思っていたんです。 父の遺品整理したときに、たくさんのCDが出てきたんですけど、機嫌が良いときにこれ歌ってたなとか、ドライブには必ずこれだったなとか、いろんなことを思い出して。その人の姿がなくなって、もう会えなくなっても、音楽はその人との思い出と時間をつないでくれるものなんだなって。 それで、やっぱり私はアーティストや表現者になりたいと思って、表現を学べる学校に行って、初めて人前に立って披露したのが学園祭だったんです。 ◇アンジェリーナ1/3の人生を変えた講談 ――趣味が落語と講談。アンジェリーナ1/3さんはラジオでも流暢なトークを披露されていますよね。 アンジェリーナ1/3:伝統芸能に出会う前後では、言葉ひとつをどう届けるかという意識が変わりました。それこそ、講談とか落語って、そこに座って、人の視線をグッと引きつけて、発する言葉で人を笑わせたり、感動させたり、怒りが満ちてきたりと、言葉で人の心を動かさなければいけない。 私たちには音楽があるので、いろんな表現方法で感動させられますけど、講談や落語はそうではないので、バンドとしての振る舞い方を見つめ直すきっかけになりました。 ――講談にハマったのは『中村仲蔵』がきっかけだったんですよね? アンジェリーナ1/3:そうなんです。『中村仲蔵』は私の人生を変えてくれたお話です。仲蔵の生きた道ってすごく険しかったし、ツラかっただろうけど、しっかり自分の実力で人を説得させる。自分もそうであるべきだって、すごく思ったんですよ。 音楽未経験の女子高校生として加入したけど、別に生い立ちとか、加入した経緯なんて正直どうでもよくて、ここから何を伝えるか、何を本物にしていくかというのが大事で、その先にある結果で評価してもらえるような人間になろうと思いました。 ――ニューEP『Ace』についても聞かせてください。昨年配信リリースした「BakuBaku」など計5曲が収録されていますが、今回はどのようなコンセプトになっているのでしょうか? アンジェリーナ1/3:今年の10月に結成15周年を迎えるんですけど、その前に洗練された力強いサウンドを出して、その勢いで15周年を迎えたいという気持ちが強かったので、アルバムのタイトル通り、全部エースと言ってもらえるような曲を作ろうとメンバーで話し合いました。 ガチャピンって100曲以上ストックしているんですけど、このアルバムのために全ての曲を書き下ろしました。制作期間中は、みんな土のような感じの顔色になっていて。でも、それぐらいの熱量がある、そして質量があるようなアルバムが作れたと思います。アルバム出すたびに思うんですけど、これを超える作品はもう作れないって。みんなの血と汗と涙が入り混じったアルバムなので、もっと多くの人に届いてほしいです。 ――リード曲「Let It Beat」はGacharic Spinらしさもありつつ、この先に進んでいこうという決意も感じられる挑戦的な曲だと感じました。 アンジェリーナ1/3:そうですね。歌詞を見ていくと、泥臭いバンドだなって感じましたね。『Let It Beat』は、曲が送られてきたときに衝撃的で、最初は難しすぎて歌えないかもしれないと思ったんですけど、進み続けることを選択した人たちのサウンドですし、この15周年を迎えるタイミングだからこそ、生み出せた曲なんじゃないかなと思います。 ――MVはかなりセンセーションな映像ですよね。 アンジェリーナ1/3:すごいですよね。私、渋谷のスクランブル交差点で寝っ転がったんですよ。初めて都心の交差点の真ん中で空をまじまじと見ました(笑)。 〇Gacharic Spin – Let It Beat (Official Music Video)――Gacharic Spinとして、そしてアンジェリーナ1/3さん個人としての夢はありますか? アンジェリーナ1/3:それこそやりたい会場もあるし、見たい景色もいっぱいあるのですが、まずはこの15周年をしっかり迎えて、Zeppツアーを成功させたい。この6人でZeppを埋めたいという気持ちが強いですね。それには、『Ace』を引っ提げたツアーを回っているんですけど、6人のサウンドをもっと確立させなきゃいけないなって。 個人的な夢という部分で言うと、Gacharic Spinという名前を世に残していきたい。もう15年もやっているバンドなので、これから先、何があるかわからないじゃないですか。そんなネガティブなことは考えたくはないんですけど、始まりがあれば、いつか終わりが来てしまうもの。でも、みんなが帰ってこられる場所であってほしい。何年後であっても「Gacharic Spinのアンジェリーナ1/3」と名乗り続けていきたいですね。 (取材:川崎 龍也)
NewsCrunch編集部