日銀、17年ぶり利上げをきょう決定へ-午後に植田総裁が記者会見
(ブルームバーグ): 日本銀行が金融政策の正常化局面入りを議論する注目の金融政策決定会合は、19日の昼過ぎにも結果が発表され、17年ぶりの利上げなどを決める見通しだ。植田和男総裁は午後3時半に記者会見する予定。
世界で最後に残ったマイナス金利が解除されれば、2007年2月に福井俊彦元総裁の下で無担保コールレートの誘導目標を0.25%前後から0.5%前後に引き上げて以来の利上げとなる。長期のデフレに陥った日本経済を支えるため、異例の大規模緩和を続けてきた日銀の金融政策運営は大きな転換点を迎える。
イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)やリスク性資産の買い入れなど大規模緩和を構成する他の主要政策手段も、見直しまたは廃止が検討される。長期金利の急激な上昇を回避するため一定規模の国債買い入れは継続するが、短期金利の操作を中心とした伝統的な金融政策運営への復帰に向けた第一歩となる。
日銀による情報発信や事前報道によって、市場はマイナス金利解除などの政策変更に加え、解除後も緩和的な金融環境が続くことを既に織り込んでいる。その後の利上げペースや国債買い入れの行方は経済・物価情勢次第となり、声明文のフォワードガイダンス(先行き指針)や総裁会見からヒントを探ることになりそうだ。
個々の政策を修正する場合の具体的な内容は、植田総裁や内田真一副総裁のこれまでの発言で方向性がある程度示されている。短期金利操作は日銀当座預金の超過準備に対する付利の調整によって行われ、付利はプラス0.1%とし、無担保コール翌日物レートを0%-0.1%に誘導する可能性が大きい。
YCCは廃止を含めて検討され、長期金利は市場に委ねることを基本としつつ、国債買い入れの継続によって急変動を回避する。上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(J-REIT)の新規購入は停止される見通しだ。
鈴木俊一財務相は19日の閣議後会見で、金融政策に関して、具体的な手法や経済指標を踏まえた経済金融情勢の解釈は「日銀に委ねられるべきもの」と述べるにとどめた。一方、日本経済については、今春闘の賃上げが大企業中心にかつてない大きな伸びであると同時に、「旺盛な設備投資意欲があり、明らかに良い兆候が表れている」と語った。