くりぃむしちゅー「有田哲平」が53歳にして「ボケの呪縛から解放された」…ラーメン番組で“食レポなし”の自然体ロケを貫いた理由
「ボケの呪縛から解放されたのかもしれない」
現在、有田さんは53歳になった。求められる役割が変わり、かつては成立しなかったものが成立するようになった。 「『有田と週刊プロレスと』や『解体新笑』は、自分からやりたいと言って提案した企画じゃないんですよ。周りから自然発生的に持ち上がった企画。こっちからすると、“ほんとにただしゃべるだけで大丈夫なんですか!? もっとふざけなくていいんですか?”って思うんだけど、“大丈夫です”と。それでいいんだって思えるようになったこともあって、今回の番組も“この店のラーメンを食べたい”っていうことにかまけちゃって何にもしてないんです」 「ボケの呪縛から解放されたのかもしれない」――、そう有田さんは笑う。 「割とベタな公園に子どもと一緒に行ったりすると、“めっちゃいいじゃん、公園”とか、“花がめっちゃ綺麗”とか、やっと染みるようになって。今までだったら、どうボケようとかシミュレーションしていたけど、ただただそこにあるものを楽しめるというか。人生折り返しに来て、そんなことを思いますね。自分の意思で行った場所にしか感動はないんだなって」 自分事にするために、無理なく自然体で。その年齢でしかできないことがある。ラーメンのスープをじっくり味わうように、体験を自らに染み渡らせる。派手ではない。だけど、そんな番組に心をつかまれてしまう。
我妻 弘崇(あづま ひろたか) フリーライター。1980年生まれ。日本大学文理学部国文学科在学中に、東京NSC5期生として芸人活動を開始。約2年間の芸人活動ののち大学を中退し、いくつかの編集プロダクションを経てフリーライターに。現在は、雑誌・WEB媒体等で幅広い執筆活動を展開。著書に『お金のミライは僕たちが決める』『週末バックパッカー ビジネス力を鍛える弾丸海外旅行のすすめ』(ともに星海社)など。 デイリー新潮編集部
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