「ママは夜、泣いてるんだって」小学校受験で第一志望に落ちた家庭の癒えない傷…意外なところから射す希望の光
ハンバーグの夜
「ママ、明日のバザーってさ、ママも来る……?」 お夕飯のハンバーグに半熟目玉焼きを乗せていると、優也がオープンキッチンのカウンターから身を乗り出してきた。 「もちろん! お母さんたちみんなで、今一生懸命準備してるからね。ポップコーンとクッキーのお店も出すよ」 私は帰宅が遅くなる夫のハンバーグにラップをかけながら優也の顔を見た。私の言葉をきいて、優也はぱあっと笑顔になる。 「よかった~来てくれるんだあ、安心した! ママ、うちの学校好きじゃないから、来てくれないと思った。僕たち、よくそういう話するんだよ。よそを落っこちたからこの学校にきた僕みたいな子、結構いるんだ。そういう子のママは、もしかしてバザーきてくれないかもなって」 「え……?」
小説/佐野倫子 イラスト/Semo 編集/山本理沙
佐野 倫子