名所の紅葉を男2人マイペース撮影 見ごろの「長野・白駒の池」
今月1日の奥日光・菅沼に続き、今年2度目の紅葉を撮りに北八ヶ岳・白駒の池(長野県佐久穂町/小海町)へ。比較的訪れる人の少ない菅沼に対し、こちらは紅葉の名所としてかなりメジャーなスポットだ。 訪れた10月4日は見頃まっただ中の土曜日とあって、駐車場に入るまで大渋滞。カヌーで入って湖を独占した前回とは打って変わり、大勢の観光客やアマチュアカメラマンに混じっての撮影行となった。また、前回はカヌー犬たちに導かれて初めてのスポットを楽しんだが、今回は逆に風景写真初心者のN君を2度目の僕が案内する形になった。【内村コースケ/フォトジャーナリスト】
「風景写真」ならぬ「ランドスケープ・スナップ」
あまり一言で簡単にまとめてはいけないが、大きなカメラとレンズを三脚に据えて、最高の瞬間をじっくり待つというのが風景写真の王道と言えるだろう。だが、もともと僕は一つのジャンルとして確立しているそうした「風景写真」を志向していない。
自分がライフワーク的に取り組んでいるのは、都会を歩き回り、通行人も絡む一期一会の情景を瞬間的に切り取る、条件反射的な「ストリート・スナップ」だ。 「だから、三脚は持って行きません。いい光を待ったりもせず、機動力重視でいきましょう」
N君にそんなことを言って、否応なしに俺流の世界に引きずり込んでしまった。それは、ちょっと格好いい言葉を使わせてもらえば、その時々で出会った自然が織りなす情景に集中し、偶然の出会いを慈しむ「ランドスケープ・スナップ」の世界である。
機材トラブルもプラス志向で
2115メートルの高地にある白駒の池は、日本で最も標高の高い所にある堰止湖(せきとめこ)である。湖畔の紅葉はドウダンツツジの赤、ダケカンバなどの黄、常緑樹の緑が織りなすタペストリー的な色彩が魅力だ。反面、派手に「一面色づいている」という一角は限られていて、ここでの紅葉の写真は、同じような構図の予定調和的な絵作りにハマり込んでしまう危険性を孕んでいる。
僕とN君は、そういう「みんなが狙う」構図も押さえながら、湖畔の周遊路を進んだ。誰もがきれいだと思う風景はやはりきれいだし、それには素直にレンズを向けたい。そして、自分だけが偶然出会った瞬間、あるいは全身で感じる空気感、そういったものにも同時に目を光らせたい。