■9年前　兵庫県警の機動隊員が自殺

自ら命を絶った木戸大地さん

9年前兵庫県警の機動隊員が自殺しました。 両親が職場のパワハラが原因だとして兵庫県に損害賠償を求めてからおよそ7年。 兵庫県が謝罪し、賠償金を支払うことで和解が成立しました。 ■【動画】機動隊員が自殺　パワハラとの因果関係認められず　両親「かたきを取ってやりたい」 木戸大地さんは、広島の高校を卒業後、2009年に兵庫県警の警察官に採用され、2012年からは機動隊で山岳救助などを担い多くの表彰を受ける優秀な隊員でした。

■「あなたの思い通りになってよかったですね」先輩に宛てた遺書

先輩隊員に宛てた遺書

しかし、当時24歳だった大地さんは機動隊の寮で、自ら命を絶ったのです。 大地さんの上着の中からは先輩隊員に宛てた「あなたの思い通りになってよかったですね」と書かれた遺書が見つかりました。

家族や大切な人に宛てた遺書

さらに、同じ寮では、大地さんが亡くなる1週間前にも当時23歳の隊員が自殺するという異常な状況でした。

家族写真

息子の大地さんを亡くした父・一仁さんは、職場でのパワーハラスメントを疑い兵庫県警に調査を依頼。

■両親に渡された「黒塗りの報告書」しかし警察の「内部資料」にパワハラの事実

大半が黒塗りの報告書

しかし、返ってきたのは大半が黒塗りの報告書と「自殺の原因はわからない」という答えでした。 ところが、兵庫県警の内部資料には、遺書を宛てた先輩隊員によるパワハラの事実が記されていたのです。

警察の内部資料に記された証言

兵庫県警の内部資料には、「他の隊員ならそこまで言われないようなことでも厳しく叱責されていた」と記載。さらに、大地さんの自殺の原因については、同僚隊員による「小隊長、A隊員による明らかなパワハラであると思う」という証言が記されていました。

■長引く裁判　父が下した決断　裁判で「組織」と対峙する過酷

兵庫県警察本部

父・一仁さんは、2017年自殺は先輩隊員らのパワハラが原因だとし、兵庫県におよそ8000万円の損害賠償を求める裁判を起こしました。 おととし1審の神戸地裁（久保井恵子裁判長）は、「ボケ木戸」と書かれた付箋を貼るなど先輩隊員らの行為について「違法なパワハラ行為に該当する」と認定し、兵庫県に100万円の支払いを命じました。 一方で、パワハラ行為と自殺との因果関係は認めず、双方が、判決を不服として控訴しました。 大阪高裁では裁判所の提案で和解に向けて協議する裁判手続きが行われ、一仁さんはひとつの決断をしました。