NICTら6者、「Wi-SUN enhanced HAN」を制定。電力スマートメーターを用いた水道・ガスなどの共同検針に向けた標準規格
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、株式会社東芝、ルネサス エレクトロニクス株式会社、ランディス&ギアジャパン株式会社、株式会社アイ・エス・ビー、沖電気工業株式会社は6月13日、「Wi-SUN enhanced HAN」規格を、国際無線通信規格化団体Wi-SUNアライアンスにおいて正式に制定したことを発表した。 【画像】IoTルートのイメージ Wi-SUN enhanced HAN企画は、電力スマートメーターシステムを利用して、ガス・水道メーターや、EV充電システムなどに利用される「特例計量器」の検針を一括で行うためのもの。なお、Wi-SUN(Wireless-Smart Utility Network)は、大規模屋外IoTワイヤレス通信ネットワーク向けの国際無線標準規格としてWi-SUNアライアンスにより策定されており、NICT、東芝、ルネサスはその創設メンバー、ランディス&ギアはボードメンバーとなっている。 ■ 電気、水道、ガスのメーターを一括で検針できる「IoTルート」のための規格 電力スマートメーターは、電力メーターに通信機能を備え、検針員が各家庭のメーカーを目視などで確認することなく、リモートでの検針を行える。一方、ガスや水道のメーターは、検針員が目視で検針を行ったり、独自の通信規格を用いた検針を行ったりしている状況で、ガス・水道メーターから電力スマートメーターにデータを送信し、一括でリモートでの検針(共同検針)を行うことへのニーズが高まっていた。 この通信経路が「IoTルート」の名前で定義されている。これは、ガス・水道メーターのほか、EV充電システムや太陽光発電システムなどで用いられる「特定計量器」と呼ばれるメーターでも利用される。IoTルートは、2022年4月に施行された特定計量制度とともに定義された。この制度は、計量法の検定を受けていないメーターでも一定の基準を満たせば電力の取引等が行うことができるようにしたもの。 2022年5月に、経済産業省次世代スマートメーター制度検討会の取りまとめにおいて、IoTルートの通信方式として「Wi-SUN enhanced HAN」システムが適当であるとされた。これを受け、Wi-SUNアライアンスのWi-SUN HANワーキンググループにおいて規格の制定が行われ、2024年2月に、技術仕様と相互接続試験に必要となる仕様を含む正式な規格書を、すべて発行した。 そして、Wi-SUN enhanced HAN規格をもとに、一般社団法人情報通信技術委員会(TTC)が制定する、スマートメーターや家電などのホームネットワーク通信インターフェースの標準規格である「TTC JJ-300.10」を改定し、正式に発効された。 NICTらは、この規格の発効にともない、相互接続性や互換性の検証を行う相互接続試験を積極的に実施し、今後もこの規格を安定して動作させるための活動を実施。共同検針の実用化を目指す。
INTERNET Watch,松永 侑貴惠
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