新シーズンが「とても楽しみ」と意欲的な大坂なおみ。一方で「一定の順位を超えなければプレーできない」とツアー撤退もほのめかす<SMASH>
いよいよ幕を開けた2025年の女子テニスツアー。開幕戦の1つである「ASBクラシック」(24年12月30日~25年1月5日/ニュージーランド・オークランド/ハードコート/WTA250)では、完全復活を期す元世界ランク1位の大坂なおみ(現58位)が新シーズン初戦を迎えている。そんな彼女が大会前の会見で驚くべき発言をした。この1年で結果を残せなければツアーから撤退する可能性を示唆したのだ。 【画像】華麗な特注ウエアで全米オープンを戦った大坂なおみを厳選ショットで紹介! 現在27歳の大坂は出産と産休を経て昨年1月にツアーに復帰。2月の「カタール・オープン」(ハード/WTA1000)と「リベマ・オープン」(芝/WTA250)の2大会で8強入りすると、6月の全仏オープン2回戦では大会3連覇を成し遂げた現2位のイガ・シフィオンテク(ポーランド)からマッチポイントを握るなど、カムバック直後からキレのあるプレーを披露。一時は消滅していたランキングも現在は58位まで戻している。 9月半ばには2019年12月から約4年9カ月にわたって師事してきた名将ウィム・フィセッテ氏(ベルギー)と袂を分かち、直後には元世界女王のセレナ・ウィリアムズ(アメリカ)らを指導した経験を持つパトリック・ムラトグルー氏(フランス)をチームに招聘。新体制でさらなるランキング上昇を図りたいところだったが、10月初めの「中国オープン」(ハード/WTA1000)4回戦で腰を痛め、そのままシーズン終了を余儀なくされた。 17年以来8年ぶり2度目の出場となるASBクラシックのメディアデーで「謙虚になったと思うし、大きく成長したとも感じている。これまで以上に一生懸命やれた」と激動の24年シーズンを振り返った大坂。その上で「望んでいた結果が得られなかったのはとてもつらかったけど、成長しながら学べていると思うし、今年(25年)がとても楽しみ」と胸を躍らせながら新シーズンの展望を語る。 しかしかつての輝きを完全に取り戻せていない現状にはもどかしさも感じている様子。自身を「ツアーに長く居座る選手ではないと思う」と描写した27歳の元女王は、今後の結果次第で早期の引退を決断する可能性もあると発言し、記者たちを驚かせた。 「ツアーで戦っている選手全員をとても尊敬しているけど、今の私の立場からすると、ある一定のランキングを超えなければ、しばらくはプレーできないと思う。自分がいるべき場所にいられないままでいるなら、娘と一緒に過ごしたい」 ASBクラシックに第7シードで出場している大坂。会見での発言からメンタルのコンディションが少々気になるところだったが、初戦で予選勝者のリナ・グルシュコ(イスラエル/221位)に6-4、6-4で快勝した。このまま勢いに乗っていくことを期待しよう。 文●中村光佑