虎のソナタ 右京の「THE神業チャレンジ」目撃! 30センチしか開いていないシャッターを突破せよ
ギコギコ…。 どこかで鳴っていた。 まともな音じゃない。 球場外周と室内練習場の境にあるシャッターが揺れていた。不気味な影が見える。出た…前川右京-。 【写真】手を伸ばすファンに応え…自身もギリギリまで背伸びをしながらファンサービスに努める阪神・前川 朝から冷たい雨が降っていたため、1軍の全体練習はまずは室内練習場でウオーミングアップ。ただし、ノックはグラウンドでやるため、一旦出て、打撃練習のため、球場から室内練習場まで移動しなくてはいけない。多くの選手は関係者用通路を通るが、球場外周を突っ切る選手もいる。試合開催日ではないため、見守るファンの数も少ない。外野で守備練習を終えた森下と前川は球場外周を通って〝強行突破〟しようとしたが…。 室内練習場のシャッターは30センチほどしか開いていなかった。前川は必死で考えた。腹ばいとなり、ほふく前進のようにすれば入れるのではないかと…。176センチ、83キロが30センチに挑戦。タテジマのユニホーム姿で、THE神業チャレンジ、タイガース版! 当然失敗! 前川は中にいた報道陣にシャッターを少し上げてもらって、無事に〝クリア〟。ふと見れば、森下が涼しい顔でいるではないか。一体、なぜ!? 実はシャッター横に扉があり、そこが開いていた。森下は「右京らしくていいやん」とニヤリ。いつもマジメに一生懸命に練習に取り組むのが右京の特長。クライマックスシリーズでも正左翼手として期待されるほどの成長株は、朝から先輩をリラックスさせていた。 虎番の須藤佳裕はスマートフォンに保存している写真を見せてくれた。 2019年10月20日。高校野球近畿大会で智弁学園・前川は神戸国際大付との1回戦で2打席連続本塁打。アマ野球担当だった須藤は2つのホームランボールを手にほほ笑んでいる前川の写真を撮った。「ホームランアーチストでした。智弁学園の小坂監督が話していたのですが、金属バットを何本も折るほど打感が強かった、と。(巨人の)岡本(和真)以上だったらしいですよ」。潜在能力は高く、うまくなろうという気持ちが強い。みんなから愛されて、期待されるのが右京なのだ。 シート打撃でいきなり二塁打を放った前川の取材を誰がするかをめぐって、虎番内で〝ひと悶着〟があった。