「デジタル従業員」でサイバーセキュリティ業界の人材不足を解決、イスラエル新興のTwine
イスラエルと米国を拠点とするサイバーセキュリティ分野のスタートアップ、Twineは11月20日、ステルスモードを脱出し、1200万ドル(約18億7000万円)のシード資金調達を実施したことを発表した。このラウンドはデルテクノロジーズ・キャピタルとテンイレブン・ベンチャーズの主導によるもので、セキュリティ企業Wizの創業者を含むエンジェル投資家も参加した。 Twineはサイバーセキュリティ業界の人材不足を、同社が「デジタル従業員」と呼ぶ人工知能(AI)エージェントを提供することで解消しようとしている。同社のアレックスという名前のデジタル従業員は、IDおよびアクセス管理(IAM)の専門家として設計されている。 Twineの共同創業者でCEOのベニー・ポラットによると、アレックスはSaaSプラットフォームとして展開され、顧客の環境内の様々なシステムと接続する。「顧客は、アレックスのインターフェースを通じて質問をしたり、タスクを割り当てたりする。すると、アレックスは、割り当てられたタスクに対して計画を立てて承認を求め、完全な透明性を確保しながらその計画を実行する」とポラットは説明した。 世界経済フォーラムは、数カ月前に発表した報告書で世界のサイバーセキュリティ業界が約400万人の専門職の不足に直面していると警告した。この問題は、クラウドコンピューティングやリモートワーク、新たなAIソリューションの急速な普及に伴う、サイバー攻撃の件数が大幅に増加している中で発生している。 2024年第3四半期のサイバー攻撃の発生件数は、前年同期から75%増加したとされている。しかし、CyberSeekの最近のデータによれば、米国全体で必要なサイバーセキュリティ職のうちの、85%しか充足されていないという。 デジタル従業員の初期の例としては、10年前にIPsoftが開発した「Amelia」が挙げられるが、Twineはサイバーセキュリティ分野でデジタル従業員を開発・販売する初の企業だとされている。今日の生成AIや大規模言語モデル(LLM)の発展によって、AIエージェントは基本的なタスクを超えたスキルを持ち、さまざまな部門でデジタル従業員として機能している。例えば、11x.aiは営業やマーケティングの業務の自動化に特化しており、Alchemyst AIはセールス分野に特化している。 ポラットによるとTwineは、分業の枠組みを採用し、AIエージェントによる意思決定とデータの分析機能を分離しているという。「当社が使用している主要なLLMはOpenAIのGPT-4だ。私たちは経験豊富なサイバーセキュリティの専門家として、AIモデルとそれに関連するデータを含む全体のアーキテクチャを通じて、セキュリティを考慮した製品を構築している」と彼は説明した。 ■組織内で「成長する」AIエージェント ポラットによれば、アレックスは数分以内に稼働可能だが、組織へのオンボーディングの初期段階では、主に基本的なタスクを担当するという。アレックスはまた、人間の従業員と同じように、アクセス権や信頼が増すほどできることが増えていくという。「当社のデジタル従業員は、特定の企業環境を学ぶだけでなく、その専門分野に関連する新しい知識やベストプラクティスを継続的に更新していく」とポラットは述べている。 Twineは、ポラットとサイバーセキュリティ分野のユニコーンであるClarotyに在籍していた3人の元幹部らによって今年設立された企業だ。ポラットが2015年に共同創業したClarotyは、産業インフラ分野の革新的なサイバーセキュリティ企業として成功を収めており、9月にイスラエルのニュースメディアCalcalistは、同社が2025年のIPOを計画中だと報じていた。
Gil Press