親子の共通の趣味は中日ドラゴンズ…最近は観戦誘うも「いや、いい」 父が見る伊藤匠新叡王
“藤井一強”時代に風穴を開けたのは、同学年の後輩棋士だった。20日に山梨・甲府市内で指された第9期叡王戦五番勝負第5局で、藤井聡太八冠(21)を破った伊藤匠新叡王(21)は、「一つ結果が出せて良かった」と謙遜しつつ喜びを口にした。また、伊藤新叡王を近くで見守ってきた父・雅浩さん(52)が息子について語った。 伊藤が将棋を始めたのは、5歳の時に“サンタクロース”が持って来た将棋の盤駒がきっかけ。すぐにのめり込んだことから、その後も対局時計や盤など将棋関連のものをプレゼントしていたという。 子供時代はおとなしく、雅浩さんが怒ったことといえば「声が小さい」ということぐらい。小学1年時に出場した小学館主催の将棋大会は「勝つと『やったー!』ってピューッと走ってきて、喜んでいた」ため、よく覚えているが、それ以降は大人びて、将棋で感情をあらわにすることも減っていったという。 3年生の時、同大会で伊藤が藤井に勝ち、敗れた藤井が号泣。後の“藤井を泣かせた男”の伝説が生まれた。「当時から同学年に藤井くんがいるなという感覚は親の中にはあったけど、子どもたちは分からなかったと思います」 雅浩さんはタイトル戦の前夜祭なども自ら応募し、なるべく現地へ行くようにしている。「いつもどこか、これが最後のタイトル戦かもしれないと思っているから…」。親の本音だ。 親子の共通の趣味は中日ドラゴンズ。最近も「球場に行こうよ」と誘ってみても、伊藤は「いや、いい」という返事。「もう少し、大人になったら一緒に行ってくれるかな(笑い)」と叡王との観戦を夢見ている。(瀬戸 花音)
報知新聞社