imase「中学時代はサッカーでプロを目指していた」。20歳から始めた音楽で世界ヒットを生んだ、彼の曲作りとは〈インタビュー〉
20歳になった2020年から音楽を始めて1年後にはメジャーデビュー、このほど現在までの3年間に作り出した楽曲を19曲も収録した1st Album『凡才』(ユニバーサル ミュージック/Virgin Muisc)のリリースが決定したimaseさん。等身大で魅力的な曲を次々世に送り出すimaseさんとは一体どんな人なのか――今いちばん気になる注目のアーティストの素顔に迫るべく、お話を伺った。
楽器ができたわけでも歌がうまかったわけでもない
――すごくキャッチーで印象的な曲が19曲も入っていて、すごく才能を感じるのにタイトルは『凡才』。どのような思いを込めたのでしょう? imaseさん(以下、imase):楽器ができたわけでもないし歌がうまかったわけでもない「凡才」な自分が、どうやったらたくさんの方に聞いてもらえるのかを考えながら作った曲が詰まっているアルバムなので、そんな意味を込めて『凡才』というタイトルをつけました。国内外問わず聞いていただきたいという想いもあり、世界で人気の「盆栽」ともかけています。 ――ずっとサッカー少年だったそうですね。 imase:小中高とずっとサッカーをやっていて、中学生の頃は本気でプロを目指してやっていました。音楽とは無縁だった、というわけではないですが、歌を歌ったり聴いたりするのは同年代の子と同じくらいの熱量でした。 ――どうやって「音楽をやる側」に変わったんですか? imase:20歳の秋に友達がギターを買ったことに刺激されて、自分も弾き語りをしてみたいと思いギターを買いました。その頃、TikTokにショート尺の15秒や30秒で楽曲を投稿している方がたくさんいらっしゃったので、僕もそれを見て「オリジナル曲を作ってみたい」と思って始めたのが最初です。 ――20歳というと、まさにコロナのとき? imase:そうですね。この時期は特にSNSが見られやすかったと思いますし、ライブやフェスなどが開催できなくなってしまったことで、よりSNSで音楽を聴く方が増えていたと思います。そういった部分では、タイミングがよかったかもしれません。 ――とはいえ「ギターを買う」のと「曲を投稿する」のはちょっと位相が違うような。どうつながっていったのでしょう? imase:結構自然な流れでしたね。周りに作っている人がいたわけではないですが、僕たちの世代は曲を作ったりするハードルは低いほうではないかなと思います。マイクやキーボードなどの機材も気軽に手に入れられますし、「ギターやピアノを始めよう」と同じ感覚で「曲を作ろう」みたいな。僕もそんなに意識しないで「趣味でやってみよう」と思い始めました。GarageBand(iOS対応の音楽制作アプリ)でショート楽曲を作って投稿されている方もたくさんいますし、誰でも気軽にできる時代になっていると思います。 ――誰にでもできるといっても、ここまでの成功はなかなかできるものではないと思います。投稿に反応はいきなりあったんですか? imase:最初に投稿したのは「Have a nice day」(2021/12/19リリース)で、それはすごくバズったというわけではなかったですが、それなりに反応をいただけました。「もっと聴いてみたい」など様々なポジティブなコメントをいただけたのがモチベーションになって、「ちょっと作ってみるか」と、そこから続けて作るようになりました。 ――そしてわずか1年でメジャーデビュー。自分の部屋で作っていた時から世界がどんどん変わってどうでしたか? imase:驚きましたね。もともと音楽を仕事にしようという考えはなかったので、趣味の範囲だったんです。今は上京して環境も変わり、常に目まぐるしいので少し戸惑っているところもあります。こんなふうになるなんて思ってなかったですし、地元の友達も驚いています(笑)。