新型グラントゥーリズモ・トロフェオは、マセラティの110周年を祝すにふさわしい大人のクーペだったワケとは
日本に上陸したマセラティの新型ラグジュアリー・スポーツカー、「グラントゥーリズモ・トロフェオ」に小川フミオが試乗した。試乗日に行われた「Celebrazione dei 110 Anni di Maserati」も併せてリポートする。 【写真を見る】新型グラントゥーリズモ・トロフェオの全貌(27枚)超希少なマセラティにも迫る
気分は最高
今、最も気になるスポーツGTがマセラティの新型グラントゥーリズモ・トロフェオだ。スタイリング、パワー、操縦性、快適性、贅沢さ、それにブランド力。全て高得点の出来映えなのだ。 新型グラントゥーリズモのよさは、万能選手ぶりにある。ゆっくり走ったら快適、速く走れば痛快。何より、速度に関係なく、乗っている時間は最高の気分になれるところに、その真骨頂がある。 パワフルなエンジンを活かすため、足まわりもステアリングも、大変上手くバランスがとられている。例えば、高速でアクセルペダルを踏み込んでいったとき、エンジン回転が上がっていくにつれ、路面に張り付くような操縦感覚が味わえる。 新型グラントゥーリズモ・トロフェオの3.0リッターV6エンジンは、405kW(550ps)の最高出力と、650Nmの最大トルクを発揮する。 重心の低いドライサンプ式であり、2基のターボチャージャーを組み合わせる。高回転領域では、副燃焼室と主燃焼室を二つ使い、燃焼効率を上げるというプレチャンバー方式まで採用と凝った設計だ。 下の回転域からトルクがたっぷり出るうえに、レッドゾーンまで一気に回っていく。 そのとき、ドライブしている私の頭のなかでは、ターボが回り、さらにプレチェンバーがガソリンと空気の混合気に火を点けたあと主燃焼室にジェット噴射していっきに燃料させているのだ……と、絵が浮かんでいる。これが楽しい。 着座位置が低いゆえ、走る楽しさを追求したクルマであることを意識させる。 インテリアは、クオリティが高い。豪華ではないけれど、使われている素材は吟味されている。シートのホールド性や座り心地をとっても、スポーティさと快適さが共にある。