1億円オーバー! 予想を上回る価格のRUF「BTR III」は「フラットノーズ」「カブリオレ」「ターボS用リアエアダクト」の3つの特徴を備えたレアな1台でした
内外装はブラックで統一されている
今回RMサザビーズがカナダのトロントで開催した、「デール・トゥ・ドリーム・コレクション」オークションに出品されたRUFは、CTRとともにスーパースポーツのファンから熱い視線が注がれる「BTR(グループB・ターボ・ルーフ)」。そのネーミングからも想像できるように、それはFIAのグループBレギュレーションにインスパイアされて開発・製作されたもので、1984年に発表された「BTR I」から、最後期型の最も過激な「BTR III」が生産を終了する1993年まで一貫して進化を遂げていった。 同オークションに姿を現したBTR IIIは、きわめて特徴的な仕様を持つモデルだ。1990年12月5日にRUFカナダ社からデリバリーされた記録が残るこのモデルの特徴は、まずはその独特なボディ構成、すなわちフラットノーズ、カブリオレ、そして「911 ターボS」用リアエアダクト付きというパーツに現れている。 ボディやレザーシート、ホイールフェイス、ソフトトップはすべてブラックで統一されているが、これはオリジナル・オーナーにリクエストされたもの。いかにもBTR IIIの速さをイメージさせるかのような造形とカラーリングは、異彩を放っているのは確かだ。 リアに搭載されるエンジンは、もちろんルーフによってチューニングされた3.4Lの水平対向6気筒ターボ。巨大なKKK製K27型ターボとボッシュ製のDMEモトロニック・エンジンマネージメント・システムによって、最高出力では408psを発揮する。
走行距離は約3315キロとローマイレージ
さらにBTR IIIには6速MTが組み合わされているのも見逃せないところだ。そしてこのBTR IIIに対してRUFが発行した生産証明書には、エアコン、レカロCSEシート、SONYサウンドシステム、パワーウインドウ、アラーム、17インチ・スピードライン軽合金ホイール、105L燃料タンク、スポーツミラー、革巻きスポーツステアリングホイール、RUF製計器類が装備されていることが記されている。 納車から現在までの走行距離は、わずかに2072マイル(約3315km)というBTR IIIフラットノーズ・カブリオレ。RUFの製作したモデルには、同じものはふたつとないとは良く聞かれる言葉だが、このモデルはまぎれもなく最も過激でユニークなBTRシリーズの1台といえるだろう。 オークションでもその注目度は高く、エスティメート(推定落札価格)は、40万ドル~50万ドル(約5737万円~7170万円)だったが、最終的には75万3000ドル(邦貨換算約1億760万円)での落札となった。年間に生産される台数を考えれば、まさしく世界最小の自動車メーカーともいえるRUF。その作品は今後も、オークション・シーンで熱い視線を集める存在であり続けるのだろう。
山崎元裕(YAMAZAKI Motohiro)
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