IT技術者ら「デジタル人材」データベース化…総務省、マッチングなどでDX「地域格差」解消図る
総務省は来年度、地方自治体がデジタル人材を採用する際に活用できるデータベース(DB)の構築に乗り出す。市町村のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に向けた各都道府県の支援態勢を強化する狙いがあり、デジタル人材の偏在による地域格差が生じないようにする考えだ。 【ひと目でわかる図解】デジタル人材DBのイメージ
政府が6月に閣議決定した行政手続きなどのデジタル化に関する基本方針では、対応が遅れている自治体があることを踏まえて、来年度中に全都道府県でDX化の推進体制を構築することが盛り込まれた。
これを踏まえ、総務省は情報技術(IT)関連企業などの協力を得て、IT技術者らの人材情報をDBに登録し、一括してまとめる。各都道府県がそれぞれの課題に沿って適任とみなした技術者をリストアップし、「人材プール」として確保できる仕組みとする。
総務省は、都道府県側の採用のノウハウが十分でない場合は人材のマッチングなども調整する。実際に採用が決まった人材には、各市町村のデジタル化に向けてアドバイスなどをしてもらう予定だ。
デジタル人材を巡っては、技術者が首都圏に偏在しており、地方では採用がより難しい実情がある。2020年の国勢調査をもとにした集計では、全国で約120万人いるIT技術者のうち、6割にあたる75万人超が首都圏に集中していた。
総務省は、デジタル庁とも連携してDBの構築を進める考えで、地方自治体にとってハードルとなっている採用環境の改善に取り組むとともに、地域格差の解消につなげる。
一方、総務省は実際に採用されたデジタル人材を「自治体DXアクセラレーター」(仮称)にも任命する考えだ。好事例があった場合はIT業界や他の自治体に積極的に周知し、地方でのDX推進に関する認知度を高めるとともにDBの利用増を図る。計500人の任命を目指している。
このほか、行政分野の経験や知識が浅い技術者に向けては、総務省が議会対応や予算編成など基礎的な行政実務の研修メニューやテキストなどを提供する予定だ。採用が決定すれば、自治大学校などで研修を行うことも想定している。