落合陽一、“柱のない茶室”を発表 「恐ろしい職人芸が必要」
メディアアーティストの落合陽一さんが、3作目となる茶室『ヌベルニ庵』を発表しました。柱がなく、糸と布が支える構造の茶室について「恐ろしい職人芸が必要」とコメントしました。 【画像】AIでデザインした仏像を披露する落合陽一さん
■東北の伝統工芸と世界的アーティストたちがコラボする企画
落合さんの茶室がお披露目されたのは、東北の伝統工芸と国際的に活躍するクリエイターがコラボレーションするプロジェクト『Craft × Tech Tohoku Project 2024』の展示会です(5月23日から25日に開催、現在は終了)。展示会では、岩手県の南部鉄器や、青森県の津軽塗、宮城県の仙台たんすなどの東北地方のさまざまな伝統工芸産地と、世界的に活躍するアーティストたちがタッグを組んで制作されたアート作品が発表されました。
■糸の張力で支える“テンセグリティ構造”を使って茶室を制作
落合さんがコラボレーションしたのは、山形県の置賜紬(おいたまつむぎ)という織物で、先に糸を染める先染め、平織りで織り上げることに特徴があるといわれています。 その置賜紬の織物を使って制作された茶室『ヌベルニ庵』は、四方に柱がなく糸と織物だけが天井と床面をつないでいます。茶室の中央には天然木が斜めに設置されていますが、その中央は接触しておらず、ぴんとはりつめた糸だけで接続されています。
落合さんは「柱がないんですこの茶室。上も吊っていないんです。つまり糸だけで自立している茶室で、ここが驚くポイントなんです。中央の柱も糸が結ばれているだけ。天井の重たい構造は糸と布だけで支えられている」とコメント。 これは、『テンセグリティ構造』と呼ばれる、糸などの張力のバランスによって支えられる構造を利用したもの。落合さんは今回の作品作りの難しさについて、「現代の技術がないとできない」とした上で「デジタルデータにスキャンしないとできないくらいに正確じゃないといけない。1ミリずれたら屋根が傾いてしまう。ミリ単位で設計するものになぜか天然木を使っているので。天然木は乾くと伸びますから。このサイズで正確に作るには恐ろしい職人芸が必要です。ものすごく大変」と明かしています。
■今後はスイス、イギリスなど世界各地で展示
今後、このプロジェクトの作品たちは6月にスイス・バーゼルで行われる『Design Miami/Basel』、9月にはイギリス・ロンドンで開催される『London Design Festival』に出展される予定です。