「トランプかハリスか」で離婚や業績急落も 異常な「分断大国」アメリカのリアル
保守派の理念を共有する店を集めたECモールが躍進
投票日の前後は外出を避ける人々が多くなるほどだというが、分断は個人の消費行動にも及んでいる。 ネット通販が盛んな米国では、「中絶反対」など保守派の理念を共有する店を集めたECモール「パブリックスクエア」が急成長を遂げている。昨年7月には、立ち上げから2年でニューヨーク証券取引所へ上場を果たしたのだ。 上智大学教授の前嶋和弘氏が言うには、 「トランプの支援者に『マイピロー』という枕の製造販売業者がいて、トランプの支持者がみんな買うわけです。ファストフードなら、南部を中心に展開するフライドチキンのチェーン『チックフィレ』は、社長が同性婚反対を明言してキリスト教福音派の御用達となっている。逆にリベラル派が使うカフェ・ベーカリーチェーン『パネラブレッド』などもあって、街中でも保守とリベラルのすみ分けが進んでいます」
トランスジェンダーをCMに起用すると不買運動が
とはいえ、人口3億人超のアメリカ市場で覇権を争う大手企業となれば、ことはそう単純にはいかない。 昨年、米ビール主要銘柄のバドワイザーが、「バドライト」のCMにトランスジェンダーを起用して大炎上。トランプ支持者がSNSで批判、歌手のキッド・ロックが自らライフルで「バドライト」のビール缶を撃ちまくる動画が注目を集めた。保守派の不買運動が起きた結果、米国内で首位の売り上げを誇ってきたバドライトは、今では3位へ陥落となってしまったのである。 選挙直前でいえば、反トランプの急先鋒だった名門新聞社「ワシントン・ポスト」は、大統領選で特定候補を推薦しないと表明。ハリス支持を期待していた約25万人もの電子版読者が、購読を打ち切る騒動が起きた。 右か左、どちらかの怒りを買えば、企業の業績に直結してしまうわけだ。 11月7日発売の「週刊新潮」では、異常な分断が進むアメリカのリアルについて、詳しく報じている。 「週刊新潮」2024年11月14日号 掲載
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