地下の新聞印刷工場跡で「世界報道写真展」開催へ 6万点から選ばれた「今年の写真」は
3年ぶりの日本開催となる「世界報道写真展2024京都」の準備が、会場となる京都新聞社地下印刷工場跡(京都市中京区)で進んでいる。ロシアのウクライナ侵攻や地球温暖化によるフィジーの海面上昇など世界の深刻な実像を伝える作品を30日から1カ月間、展示する。 同展実行委(京都新聞、世界報道写真財団)が主催。同財団が行う世界最大規模の報道写真コンテストには今年、130の国と地域から約6万点の応募があった。六つの地域ごとに四つの部門で地域優勝者を決めており、「今年の写真」にはイスラエルによるガザ攻撃を取材するモハメド・サレム氏の「めいの遺体を抱きしめるパレスチナ人女性」を選んだ。 革新的な表現を求めるオープンフォーマット部門では京都新聞の認知症をテーマにした写真シリーズ「心の糸」を担当した松村和彦記者がアジア地域優勝者となり、2021年以来途絶えていた日本開催復活のきっかけとなった。 今回は、アムステルダムで春から夏にかけて開かれたワールドプレミア展で展示されたプリントを特別に許可を得て輸入。長年、新聞を印刷し続けた広大な工場跡に横2メートル、縦1・3メートルのパネルに印刷された入選作品32点を6地域ごとに並べ、日本語と英語の説明文を添えた。内戦や政権による抑圧、環境汚染や干ばつなど激動の世界をさまざまな表現で伝えている。ロール状の新聞用紙に作品の関連ニュースを印刷し、日本と世界の関係を示すオブジェも展示している。 写真展は30日から12月29日まで(15日休館)、午前10時~午後6時。無料。 実行委は、開催資金を補うためにクラウドファンディング(CF)への協力も呼びかけている。