寝たきり社長の働き方改革(2)人工呼吸器が与えてくれた人生の“延長戦”
その頃、人工呼吸器といえば、病院用の大型の器械しかなかったが、在宅用の人工呼吸器が実用化され始めていた。筆者のような状態に陥った場合、病院で暮らすしか選択肢しかなかったのだが、在宅用の人工呼吸器が実用化され始めていたことは、筆者にとって絶好のタイミングだった。 この人工呼吸器を夜間に家で使えば、きちんと呼吸をサポートしてくれるので、息が苦しくて眠れないだとか、最悪、夜間に無呼吸で死んでしまうなんてこともないという。 当時、北海道などではすでに使用され始めていたが、愛知県では使用がなかった。医療としては初期段階のため、リスクはあった。 筆者はただ純粋に「夜の呼吸が楽になりたい」と思っていた。呼吸が楽になれば助かると思い、その提案を受け入れた。筆者が愛知県で最初の使用例となった。 今思えば、この提案こそが筆者の人生を“延長戦”へと導いてくれた切符だった。これがなければ、筆者が生まれて間もなく医師が両親に告げたように、余命は長くても10年というところだっただろう。 結果的にこの人工呼吸器の活用が功を奏し、筆者は余命宣告を乗り越え、今では果てしない“延長戦”を全力で生きている。この時代に生まれたことや、医療の発達には感謝の気持ちでいっぱいだ。 「ただ楽になりたい」。当時はそう考えていただけだったが、今は延長戦のなかで、障がい者の雇用を創出し、社会的インパクトを与えたいと思っている。障がい者の就労問題に革命を起こすことが天命だと本気で思っている。 なぜそのように思うようになったのか。次回以降、触れていこうと思う。