勝負を分ける真剣度

オリックス・岸田護監督

【再び頂点へ　新生・オリックスの挑戦】 情熱を持って前に進む。現役時代から変わらぬ“日々新たに”の言葉を心に刻む新指揮官。大阪・舞洲での秋季練習を経て、高知での秋季キャンプで来たる新たな戦いを見据える。目指す野球、挑む布陣の構想は、今なお画策しているものの、チームを一つにまとめ上げるための方策は明確だ。新指揮官の声を聞こう。 取材・構成=鶴田成秀　写真=梅原沙織 　すでに浸透している熱い一面だが、気さくな面も現役時代から変わらない。質問に「頭が回らない(笑)」と言うのはチーム事情を考えることが多いからこそ。ただ、忘れてはならない思いは即答する。 ──監督就任から慌ただしい日々を過ごしていると思います。 岸田　疲れていますよ(笑)。体よりも頭のほうが。考えることばっかりですから。 ──頭を整理する上で、決めることの優先事項はあるのでしょうか。 岸田　う～ん、ホントに全然、まだ整理できていないので。何から決めるというのも、決めていない。でも、決まったことは新チームになったということです。僕も現役のときに経験し、誰でも『よし、やるぞ！』という気持ちになる。選手だけじゃなく、僕自身もそうですよ。このモチベーションをいかに上げ、そして、どう保っていくか。決めるというか、秋季練習、秋季キャンプは練習メインの中で、どうやってモチベーションを上げて保っていくかを、みんなで話し合いながら、ね。『鉄は熱いうちに打て』ではないですけど、秋はその取っ掛かり。もちろん、練習の内容も大事ですよ。でも、(練習)量をこなせばいいわけじゃない。そのバランスですよね。これが、まず考えていること、決めていきたいことかな。 ──技術だけでなく。心も大事に、と。 岸田　それって何も野球選手に限らない。どんな仕事でもモチベーションはパフォーマンスに影響するものじゃないですか。気持ちが入らないと、新しい仕事を覚える気にならないと思うんです。 ──就任会見で口にした『情熱』の言葉が、すべてを表しているのですね。 岸田　難しいんですけどね。一番大事だし、難しいところ。毎日毎日、気持ちを新たにして、取り組んでいく。モチベーションを高く持って、練習をしていく。そうすれば、効率良くなっていくと思うんです。僕たちは、それをどうマネジメントしていくか、なんです。 ──そうした情熱を持った上で、掲げる『理想のチーム像』は何でしょう。 岸田　理想はないですね(笑)。『理想とは何ぞや』と考えると、これというものは……。そりゃあ、バカバカ打って、バチバチ抑えるのが理想ですよ。でも、そんなことはない。だから、理想よりも大事なことを忘れないようにしたいんです。 ──『忘れてはならないこと』ですか。 岸田　やっぱり・・・