会議同席の原告側証人元捜査員「捜査に問題あった」 大川原化工機国賠証人尋問詳報(下)
原告側の弁護士「係長は何と言っていたか」
C「喜んでいました。上に感謝しないとだねと」
原告側の弁護士「経産省とのやり取りのメモは家宅捜索協力への密約に見えるが」
C「その通り」
原告側の弁護士「こういう話は正々堂々とできるものか」
C「恥ずかしい相談。あってはいけないこと。ただ、家宅捜索しないと向こうの言い分が分からないと言っていたので、向こう(経産省)も家宅捜索までは容認してもらったという認識」
《30年10月に家宅捜索し、12月から大川原社の役員の取り調べが始まった》
原告側の弁護士「乾熱殺菌理論の定義を従業員に伝えたか」
C「いいえ」
原告側の弁護士「示さぬよう係長に指示されていたのか」
C「そうです」
原告側の弁護士「どのように」
C「殺菌できるほうが性能がいいと理解されると。それで殺菌できると(言わせる)」
《Cは取り調べで従業員から「温度が上がらない」という指摘を受け、捜査が袋小路になったと証言》
原告側の弁護士「今回の話は検察が起訴を取り消している。捜査に問題がなかったと考えているか」
C「問題がありました」
原告側の弁護士「(公安部が)独自に殺菌理論を考えてまで立件を進めた、そこまでの理由があったのか」
C「組織としてもない。日本の安全を考える上でもない。決定権を持っている人の欲だと思います」
× × ×
《続いて都側の弁護士の質問が行われた》
都側の弁護士「(警視庁公安部の事件担当課で)勤務していた期間は」
C「平成26~31年。その前も1年ずつ2回」
都側の弁護士「31年3月以降は」
C「三宅島で勤務」
都側の弁護士「この事件に専従した期間は」
C「当初から平成31年3月に転勤するまで」
都側の弁護士「29年10月6日から12月8日までの間、経産省とのやり取りは別の捜査員が中心で、あなたは参加していなかったのか」
C「参加していません。結果は聞いていました」
都側の弁護士「あなたはどんな役割だったのか」
C「書類管理と理系の人材が少なかったので、噴霧乾燥機の性能検査。あとは経産省との窓口やりとり」