AZEC首脳会議…どうなる?“岸田流”脱炭素
AZEC首脳会議…「脱炭素化」に向けたルール確認
日本とASEAN加盟国、さらにオーストラリアを加えた11か国で開かれた、AZEC(アジア・ゼロエミッション共同体)首脳会議。岸田首相は、アジアの脱炭素化に向けた3つの基本原則(1、脱炭素 2、経済成長 3、エネルギー安全保障)を確認した。岸田首相は「脱炭素はアジアの共通課題。解決の鍵はイノベーション。日本は先頭に立って技術開発、導入加速のための法制度の整備を進める」と語った。具体的には、脱炭素実現に向けたロードマップの策定や、日本が司令塔となって政策実現を行う新たな組織「アジア・ゼロエミッションセンター」の立ち上げを決めた。
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“岸田流”脱炭素へのこだわり…脱炭素と経済成長の「両立」
なぜ岸田首相はアジアでの脱炭素化に力を入れるのか?ある政府関係者は、キーワードは「多様な道筋」と指摘する。脱炭素に向けて、欧米とアジアの間では“考えのズレ”がある。欧米が化石燃料の廃止に積極的な一方、石炭火力発電の割合が高いアジアの中で、日本はCO2を排出しない水素やアンモニアを燃料に混ぜる技術などの活用を主張している。 ある経産省関係者は、岸田首相の戦略は「アジアで『経済成長』と『脱炭素化』を両立させる」ことと指摘。別の政府関係者は「欧州の脱炭素は『非現実的』で、日本が『現実的』な議論をリードする」と狙いを語っている。 岸田内閣にとって、この脱炭素をめぐる外交イニシアティブをとることは「ポストコロナの重点外交戦略」(政府関係者)の1つ。AZECで打ち出した「『経済成長』と『脱炭素』」両立実現に向け「多様な道筋」を示すことが、“岸田流”脱炭素への道、というわけだ。岸田首相は「AZECはアジアに世界から資金を引きつける新たな巨大脱炭素市場を生み出す。AZECの理念を共有する各国とともに脱炭素で連携していきたい」と強調した。
政治とカネの問題の裏で…「着実に成果出すしかない」
「日ASEAN首脳会議は2023年の岸田外交の総決算だったのに…」(政府関係者)。ある政権幹部は、「(今年)23年は外交イヤー」だと強調していた。岸田首相にとって「ウクライナ訪問」「G7広島サミット」「日米韓首脳会議」などの外交イベントが続く中、12月の「日ASEAN首脳会議」を“外交の集大成”と位置づけていた。しかし、政治とカネの問題で「外交がかすれてしまった…」(外務省関係者)という声も。別の政府関係者は、支持率回復に向けて「外交で着実に成果を出すしかない」と話す。 国内では「政治とカネ」の問題で透明性向上に向けた道筋。そして外交では、脱炭素化に向けアジアで「経済成長」との両立に向けた道筋。と、岸田首相が取り組む課題は山積するばかりだ。