重岡大毅主演「ある閉ざされた雪の山荘で」あのミステリをどうやって? 小説ならではの大仕掛けをこう変えたか! 映像ならではの面白さも解説
推しが演じるあの役は、原作ではどんなふうに描かれてる? ドラマや映画の原作小説を紹介するこのコラム、今回は若手実力派俳優が集結した、東野圭吾原作のこのミステリだ! 【キャスト一覧を見る】重岡大毅、間宮祥太朗、中条あやみ、西野七瀬らが出演 映画版「ある閉ざされた雪の山荘で」
■重岡大毅(WEST.)・主演! 「ある閉ざされた雪の山荘で」(ハピネットファントム・スタジオ・2024)
え、あのミステリを映像化するの? どうやって? というのが、この映画化を知ったときの私の気持ちである。原作をお読みの方なら同意してくれるよね。ストーリーを映像化することはできても、この仕掛けを映像で再現するのは無理──というか、再現した時点でネタがわかってしまうんだもの。東野作品の中でもかなりの大仕掛けなのだ。 まずは原作から紹介しよう。原作は東野圭吾の同名小説『ある閉ざされた雪の山荘で』(講談社文庫)。乗鞍のペンションに7人の若い俳優が集結した場面から物語は始まる。演出家からの手紙によると、ここは大雪で外部と遮断された山荘という設定で、今からここで起きる事件に対処する舞台稽古とのこと。電話などで外と連絡をとった時点でオーディション合格を取り消すという。 変わり者の演出家なので参加者たちは納得し、共同生活を始めた。するとその夜、そして2日目の夜、参加者がひとりずつ姿を消す。その人物の死体がどのような状態で発見されたかを記したメモが残されており、残った面々はいよいよ事件が始まったと考えたのだが、凶器とされた花瓶に本物の血がついていたことから、本当に殺人が起きているのではと不安になり始めた。これは芝居なのか、それとも現実なのか──? という説明は実は正確ではない部分を含むが、現時点ではこう言うしかないのでお許しください。でもってこれらの設定はほぼそのまま映画にも踏襲されている。しかしポイントは、原作小説が出たのが1992年だということ。30年以上前の小説なのだ。1992年といえばこの映画で主演しているWEST.のシゲちゃんこと重岡大毅が生まれた年だってんだから、どれくらい前かわかるでしょ。 したがって原作には携帯電話やネットが出てこない。存在はしていたがまだ普及していないのだ。演出家からのメッセージが速達で届くなんて今読むとむしろ新鮮。だが現代ではそういうわけにはいかない。映画では、まずスマホなどの通信デバイスはひとまとめにして使用禁止となる。そして演出家からのメッセージは音声が流れると同時に、部屋の壁に文字が浮かび上がるという体裁になっている。邸内の各所にはカメラが仕掛けられ、外部から参加者たちの様子が見られるようになっていて──え?