【イベントレポート】Homecomings福富優樹が伏見瞬と語った新作アルバムの手応え、スピッツに惹かれ続ける理由
Homecomingsのニューアルバム「see you, frail angel. sea adore you.」の発売記念トークイベントが、昨日12月16日に東京・タワーレコード新宿店で実施された。 【動画】ホムカミが新作アルバム曲を披露したスタジオライブ映像。 「see you, frail angel. sea adore you.」は、Homecomingsが11月27日にリリースしたメジャー3rdアルバム。シューゲイザーやエレクトロニカなどの要素を大胆に取り入れた1枚で、亀田誠治をプロデューサーに迎えた「slowboat」、アニメ「響け!ユーフォニアム3」のキャラクターソングとして書き下ろされた「Tenderly, two line」のセルフカバーなど全12曲が収録されている。トークイベントは福富優樹(G)と批評家 / YouTuberの伏見瞬の対談形式で行われた。福富はアルバムリリース後の手応えを「思い切ったことをやったアルバムなので、これでよくも悪くも反応がなかったら筆を折るしかないという気持ちでした。でも実際にリリースしてみて、ちゃんと反応してもらえてよかったです」と安堵した様子でひと言。シューゲイザーなどを取り入れたトライについては、ルーツにある音楽と自身が注目する世界のシーンの流れが合致したことがきっかけになったと明かした。 リリースのたびに音楽的な変化や挑戦を繰り返してきたHomecomings。伏見はバンドが初めて日本語詞を取り入れたアルバム「WHALE LIVING」を例に挙げて「それまで英語で歌っていたバンドが日本語に変えるのは難しいと思うんですよ。表現の強度という面では非常にリスキー。でも、それを余裕で超えてきたし、むしろ日本語にすることでバンドの方向性や見え方がいい意味で変わりました」「『WHALE LIVING』は70年代の日本の女性歌手の作品を聴いたときのような感覚を覚えたんですけど、イギリスのインディーミュージックの流れと日本のそういった音楽を合致させているバンドはいないと思うんです。シティポップブームに乗っかっているようで、全然違うことをやっている。それは福富さんの曲とリリシストとしての力から感じるものかもしれない」と語り、「see you, frail angel. sea adore you.」での音楽的な変化については「非常に納得できる。時代に合わせつつ、ちゃんと自分の中にあるものが作品に現れていると感じました」と続けた。 福富と伏見はともにスピッツの大ファン。福富は小学生の頃にスピッツに出会ったことで音楽に目覚め、伏見はスピッツの魅力を“分裂”をキーワードに紐解く著書「スピッツ論 『分裂』するポップ・ミュージック」を2021年に発表している。福富は自身がスピッツに惹かれ続ける理由を「(草野)マサムネさんは社会に対して目配せをしていて、ご自身が思っていることをちゃんと発言するじゃないですか。自分が昔から一番憧れていた人が、今でも憧れ続けられるようなことをしている。音楽や表現をやっている人間として一番好きなのはそこかもしれないです」と分析。伏見は「福富さんが以前『自分たちの曲は寂しさについて歌っている』と話されていて、自分もリスナーとしてその“寂しさ”を聴いているだなと思ったんです。そのフィーリングはスピッツにもHomecomingsにも通じている気がします」と、2組の音楽から感じる共通点を語った。 最後に福富は「自分たちのディスコグラフィを見たときに、以前は『将来残るものはあるんかな?』と不安になることもあったんです。でも、『see you, frail angel. sea adore you.』は胸を張っていいアルバムを作ることができた。Xで『私を構成する42枚』みたいなのあるじゃないですか。今回のアルバムは、そこに入れてもらえるような1枚になったんじゃないかなと思います」と、改めて新作への自信を覗かせイベントを締めくくった。