「Gクラス所有者の95%はオフロードを走らない」それでもメルセデスAMG・G63が「走破性」にこだわるワケ【試乗記】
エンジンとギアボックの間にモーターが組み込まれ、マイルドハイブリッド化されたISG仕様の4L・V8ツインターボは、従来型比で20ps/200Nmが上乗せされて、最高出力585ps、最大トルク850Nmを発生する。もともとこのエンジンはレスポンスがいいので、モーターの恩恵はあからさまには感じられないものの、以前よりも低回転域から伸びのある加速感が味わえるようになったような気がする。わずかな恐怖心さえ伴う激烈な加速は相変わらず手に余るほどだった。 ● ディーゼルもマイルドHV仕様に進化 各種装備は最新メルセデスとして大幅に充実 現行型のGクラスのディーゼルは、G350d(286ps/600Nm)として登場、制御マップの変更で出力/トルクがアップしてG400d(330ps/700Nm)となり、このたびマイルドHVのISG仕様となってG450d(367ps/700Nm)に生まれ変わった。OM656型と呼ばれる6気筒ディーゼルターボは、“直6”らしい滑らかな回転フィールと振動の少なさが特徴である。その部分はそのまま踏襲されていた。しかも従来あった、発進時にアクセルペダルを踏んでからクルマが動き出すまでの一瞬のタメは解消。モーターがうまく補ってくれて、スムーズな動き出しとなった。同様に、追い越し時などの中間加速でもレスポンスのいい動きを見せてくれる。おそらく燃費も向上しているだろうからいいことずくめである。けれど、個人的には“モーターの力を借りない”直列6気筒エンジンの消滅に一抹の淋しさを感じるのも事実だ。 G450dは、従来オプションだった電子制御式ダンパーが標準装備された点も新しい。以前、電子制御式ダンパーのあり/なしを比較したが、ありのほうが乗り心地はよかった。 実際、オーナーのほとんどが電子制御式ダンパーのオプションを選んでいたそうで、標準装備に踏み切ったとのこと。シャシーに関しては他に変更点がない。ラダーフレームにしては望外にいい乗り心地は新型になっても健在だった。 すべての新型Gクラスに共通するリニューアルポイントは主に室内にある。センターの液晶ディスプレイはタッチ式となり、ダイヤル式だったコントローラはパッド式に改められた。カップホルダーには温冷機能が備わるようになり、スマホの“置くだけ充電機能”も追加されている。