自死遺族が抱える思いなどを語る（左から）成瀬副病院長、高知さん、田中代表

　全国のギャンブル依存症当事者や家族を支援している「ギャンブル依存症問題を考える会」（東京都）は依存症に苦しみ、自ら命を絶った人の家族でつくる遺族会を設立した。設立に合わせて６日、東北地方では初となるセミナーを福島市で開き、遺族らが体験を語った。 　遺族同士が悲しみや苦しみを分かち合う場を設けて孤立を防ぐとともに、ギャンブル依存症による自死の実態を広めようと遺族会を組織した。活動を多くの人に知ってもらおうと各地でセミナーを開いており、福島市は東京都、広島県に続き３カ所目。 　考える会の田中紀子代表、母親が自死した俳優高知東生さん、埼玉県立精神医療センターの成瀬暢也副病院長がディスカッションした。自身も薬物依存に苦しんだ高知さんは依存症啓発や予防教育に携わっており、田中代表らとの関連動画に出演している。元妻にも母の話はできなかったとし、「（自死を理由に）全てを話せないのはつらかった」と話した。

　田中代表は遺族による活動が活発な海外の例に触れ「日本では自死遺族が声を上げにくい」と課題を指摘した。成瀬副病院長は依存症当事者が孤立せず、人とつながれる環境をつくる重要性などを訴えた。 　弟をギャンブル依存症による自死で亡くし、自身も元依存症の服部義光さん（郡山市出身）、遺族会の神原充代代表が体験談を話った。会場では約１２０人が聴講した。