ホークスのレジェンド・攝津正氏が長崎県対馬市に惚れ込み交流を深める理由
~対馬ベースボールフェスタへの参加で最初の一歩が始まった
9月14、15日の2日間、「対馬ベースボールフェスタ」(市教育委員会など主催)が開催された。攝津氏はホークスでチームメートだった内川聖一氏とともに野球イベントとトークショーを盛り上げた。 「野球イベントには経験者のみでなく未経験者も来てくれるなど、熱気を感じました。野球教室というよりは、グラウンドでやる島のお祭りのようなイメージ。ボランティアでたくさんの方々が手伝ってくれ、町全体で盛り上がる集いのような感じ。普段の野球教室とは違った雰囲気でした」 野球イベントには約150名の小中学生が集まって笑顔で白球を追いかけた。 「技術が備わった子、身体が強そうな子、そして未経験者など、多くの子供たちが集まってくれた。『野球が好き』という純粋な思いが伝わってきた。上手くなりたい気持ちはどこでも変わらないな、と改めて実感しました」 「ストラックアウトが体験できるブースで、まず最初に自分のコントロールを披露したら、『おっ』という感じになった。そういう感じで元プロ選手のパフォーマンスを披露した方が喜んでくれるのかもしれません。また子供たちと実際に対戦するなど、直接的に触れ合う機会も今後は増やしたいです」 ホークス黄金時代を支えた同級生コンビのトークショーには約110名が聞き入った。 「ホークス・ファンなど多くの人たちが集まってくれた。『野球は実際にやってはいないけど見るのは大好き』という子供もいて嬉しかった。内川も『対馬には初めて来たけど本当に楽しかった』と言っていた。参加した皆さんにとって最高の2日間になったと思います」
~対馬市の未来を真剣に見据えた行政方針に賛同
今回の訪島のもう1つの目的は、長崎県対馬病院を訪れることだった。攝津氏は2021年1月に自身のSNSを通じ、「慢性骨髄性白血病」を患っていることを公表。現在も病気と向き合い続けている中、離島の医療体制に興味を持った。 「離島の病院というとドラマや映画の印象しかなかったですが、対馬には大きな病院があります。以前は離島ということもあり『働き手が見つからない』と言う課題があったそうです。しかし、前向きに多くの取り組みを行なった結果、『日本有数の働きやすい離島の病院』に選ばれたことを知り、大きな興味がありました」 「ドラマや映画のような孤立していたり逼迫していたりするようなことは全く感じませんでした。例えば、僕の病気(慢性骨髄性白血病)にも対応可能ということ。福岡との距離も近いので連携を取り、さまざまなケースに対応できるそうです。病院と患者さんの距離が近く寄り添っている感じも受けました」 大病を患った経験があるからこそ感じることがある。「病院はいつも側にいてくれる、と感じられるのが一番安心できるし心強い」としみじみ語る。 「対馬は住民が幸せに暮らせる環境整備に真剣に向き合っています。病院もそうですがSDGsに対しても行政が先導役となり取り組んでいる。僕ができることは主に野球を通じたことになると思いますが、できることがあれば何でもやりたいと思います」 対馬市が掲げるのは、「誰一人取り残すことなく、いつまでも安心安全に暮らせる持続可能なしま社会の実現」。2022年時点で全国154都市が選定されているSDGs未来都市の1つ。未来を見据えた壮大な理念に攝津氏は心から共感している。