来季から危険な本塁クロスプレー禁止へ
NPB(日本プロ野球機構)が、来季から本塁のクロスプレーに関する規則を厳格化し、危険なクロスプレーを禁止する方向で進めていることが27日、明らかになった。 今月宮崎県内で開催されていたみやざきフェニックスリーグでは、開始前の監督会議で、本塁のクロスプレーに関する新ルールが通達されて、すでに試験的に導入されていた。その際、「野球規則に明記して来季から1、2軍すべてに適用する方向」との説明がされたという。今秋キャンプから審判団は、各球団を回ってバッテリー部門のコーチや選手に講習会を開く方向だ。 本塁上の危険なクロスプレーの是非については、しばしば問題にされてきた。今季も阪神のマット・マートンが、5月13日のヤクルト戦で危険な本塁突入を行い騒動になった。2回一死三塁の場面で三塁走者のマートンがライトフライでタッチアップ。本塁へのダイレクト送球は、マートンの足より早く、西田のミットに収まった。余裕のタイミングでアウトだったが、マートンは、両手を体の前でエックス字に構えて正面からの体当たりを仕掛けた。西田は、後方に飛ばされながらもボールを離さず得点を許さなかったが、両軍ベンチから選手が飛び出て、あわや乱闘に発展しそうな騒ぎとなり、試合後、真中監督が猛抗議。 本塁上の危険な突入に対する是非論が再燃したが、現状のルールでは、明確に禁止する規則はない。そのため球宴前に開催された監督会議でも「危険なクロスプレーを規則で禁止すればどうか」という意見が多く出され、選手会も賛同、今回のフェニックスリーグのテストを経て、来季開幕から採用される方向になったようだ。 実は、昨年からメジャーリーグでは本塁上の危険なタックル、捕手による完全ブロックがルールで禁止とされ、本塁上の危険なクロスプレーが消滅した。迫力あふれるダイナミックなプレーがメジャーの代名詞のように捉えられていたが、深刻な怪我を負う選手が続出したことで、現場の監督や選手会から禁止論が噴出。昨年の開幕から導入された。 ルールでは、捕手はボールを保持していない状況での走者の走路をふさぐブロックが禁止になり、ホームを空けない捕手のブロックは走塁妨害が取られ得点が認められる。一方、走者はライン上で走路を塞ぐ捕手に対しては、タックルすることはできるが、ライン上にいない捕手にタックルをすることは禁止で、もしルールに反してタックルを行えば、審判から守備妨害をとられアウトとなり、悪質な場合は退場、罰金処分も下される。今回、NPBが危険なクロスプレーを禁止するためのルール変更に踏み切った背景には、メジャーでの成功例があるとも見られる。