全国で再発増える養鶏場の鳥インフルエンザ 殺処分鶏の埋却地確保が課題に浮上 出水市では4キロ運搬、防疫上の手間増え措置完了までの時間も長期化か
高病原性鳥インフルエンザの陽性が20日確認された鹿児島県出水市高尾野の養鶏場は、2年ぶりの再発だった。殺処分鶏の埋却地は原則3年間は発掘が禁じられているため前回の土地は使用できず、新たな埋却地は約4キロ離れた場所となった。全国的にも同一農場の再発が相次ぐ中、埋却地の確保は難しくなることが予想され、処分方法の見直しを訴える声も上がる。 【写真】国道3号沿いで車両を消毒する県職員=20日午前9時半、出水市野田町下名
家畜伝染病予防法は、高病原性鳥インフルの感染が確認されれば全羽を殺処分し、速やかに埋却や焼却をするように定めている。鹿児島県は原則埋却の方針だ。 県家畜防疫対策課によると、高尾野の養鶏場は2年前は敷地内に埋却地を確保していた。今回は約4キロ離れていて、これまでの県内事例では最も遠い。殺処分鶏などはトラックで運搬しなければならず、道中のウイルス拡散防止や誘導員の配置などの対応が必要となるため、前回とほぼ同じ12万羽でも防疫措置完了には時間がかかる可能性があるという。 出水市は県に対して、運搬経路上への警備員の配置や作業時の騒音、臭気対策といった市民の安全確保や周辺住民の生活環境へ配慮するよう依頼した。 同市は4季連続で鳥インフル被害が発生し、過去最悪だった2022年季には、埋却地から近くのため池に液体が漏れ出る問題も起きた。ある生産者は「養鶏の盛んな出水には専用の焼却施設があってもいいのではないか」と指摘する。過去に鳥インフルを経験した別の生産者も「全羽殺処分という方針も見直してほしい」と訴える。
県もこれまでに焼却処理の可能性を検討してはいるものの、運搬中のウイルス拡散の懸念や焼却施設の処理能力、周辺住民の理解などを課題に挙げている。
南日本新聞 | 鹿児島