「空飛ぶクルマ」最大100機 サウジアラビアから受注 26年納入開始、独リリウム
電動航空機メーカーの独Lilium(リリウム)が、サウジアラビアからeVTOL(電動垂直離着陸機)を最大100機受注した。納入開始は2026年の予定だが、リリウムによると、このうち50機は発注先に優先権のあるオプションによる受注。中国や米国メーカーも、脱炭素を目指すサウジアラビアの航空機市場を虎視眈々と狙っている。 【関連写真】サウディアグループに納入予定の「空飛ぶクルマ」 リリウムと契約したのはサウジアラビア国有の航空会社サウディアグループ。両社は18日、独ミュンヘンのリリウム本社で調印式を行った。 両社は22年10月に覚書を調印。今回は拘束力のある契約書で、中東地域の航空会社が関係するeVTOL分野では最大規模の契約になった。 サウディアグループはリリウムから26年に第1号機を納入し、子会社サウディア・プライベートが運用を担当する。機内の定員は6人で、手荷物収納スペースもある。サウディアは、サウジアラビア国内の都市間移動にeVTOLを利用することで、国内の旅行時間を最大90%短縮できるとしている。 リリウムのeVTOLが商用化されるまでには各種の試験や手続きが必要。サウディアグループは、サウジアラビアの民間航空局(GACA)による認定をリリウムが受ける場合、各種サポートを提供することも可能としている。 リリウムによる受注額は公表されていない。しかし、かつて米国のある個人客が保有するプライベートジェットを同社の電動航空機「Pioneer」に買い替えた際の価格は1000万ドルだったという。 航空機の脱炭素化を急ぐサウジアラビアをはじめとする中東市場には、中国や米国のeVTOLメーカーが照準を当てている。代表的な企業が億航智能(EHang=イーハン)だが、米国のジョビー・アビエーションなども積極的な動きを見せている。
電波新聞社 報道本部