大学選び、行きたい学校が「仏教系」だった どんな「必修科目」がある?
私立大学は、それぞれに建学の精神があり、さまざまな特徴を持っています。その中には「キリスト教系」「仏教系」など、宗教を起源に持つ大学が多くあり、大学の成り立ちや学びにも影響しています。教育ジャーナリストの小林哲夫さんが、宗教系大学について解説します。 【写真】「オールジェンダートイレ」ICUや東大に 工夫したのはどこ?①
大学を選ぶにあたって、受験生は学びたい分野、将来への道筋、難易度、大学の所在地、通学の利便性、校風などを考えるだろう。その大学がキリスト教系、仏教系といった宗教系の場合はどうか。受験生にとっても大学選びで大きなポイントとなるだろうが、学びたい分野、難易度のほうが優先順位は高いのが現実だ。もっとも受験生にすれば、そもそも宗教系大学にはどんな特徴があるのか、知りたいところだろう。 宗教系大学をいくつか紹介しよう。仏教系、キリスト教系の大学の沿革や教育理念から、歴史のダイナミズム、人間の生き方について知ることができる。 まず仏教系から見てみよう。 四天王寺大(大阪)は、593(推古元)年に聖徳太子が設立した四天王寺敬田院がルーツとなっている。種智院大(京都)は、828(天長5)年、弘法大師空海が創設した綡芸種智院からはじまった。同校の学長はこんなメッセージを送っている。 「現代社会は、とかく物質的繁栄を最優先の目標に進んでいるようにみえます。しかし一方で、人びとの『こころ』には、言い知れぬ『すき間』が生まれています。密教は、この空虚感を克服する可能性を秘めています。本学をめざす受験生のみなさんは、本学で真言密教の智慧を通した学びを積むことによって、自分が探しているものを、きっと見つけることができると期待しています」(大学ウェブサイト) この2校は規模が大きくない。学生数1万人以上の仏教系を紹介しよう。 立正大(東京)は、1580(天正8)年に日蓮宗の教育機関として設立された「檀林」が源流となっている。2022年5月時点で、学生数1万90人。駒澤大(東京)は、1592(文禄元)年に曹洞宗が仏教の研究、漢学の振興を目的として設立した「学林」からはじまっている。学生数1万3464人。龍谷大(京都)は、1639(寛永16)年、浄土真宗の西本願寺に寺院子弟教育のために設立した学寮がルーツだ。学生数1万9959人。古代そして中世から近世にかけての日本史をのぞくことができる。